【税制改正大綱】2026年からの税金、何が変わる?生活への影響を解説!

税制と書かれたブロックに立つ男性2名のミニチュア

政府は毎年、翌年度以降の税金の仕組みの方向性をまとめた「税制改正大綱」を発表しています。

ニュースで「税制改正」という言葉を目にすると、「また税金が変わるの?」「自分の手取りは減るの?」と不安になる人もいるかもしれません。
ただし、発表された内容のすべてが、すぐに私たちの生活に影響するわけではありません

2026年(令和8年)の税制改正大綱には、家計や企業に関わる減税や制度の見直しが並んでいますが、大切なのは細かな制度の違いを覚えることではなく、「自分の生活に関係があるのかどうか」を見極めることです。

マネ娘

とくに令和8年度の税制改正が自分の生活に影響があるか、どうやって見極めればいいんだろう?


マネキン

もちろん教えるニャ!税制改正大綱で決まった内容がいつ、どのような形で私たちの生活に影響するのかを整理し、「今すぐ動くべき人」と「様子見でよい人」の違いをわかりやすく解説するニャン。

日本の税金の今と昔の変化については、こちらの記事で詳しく解説しています。
30年間でこんなに税金が増えている!?所得税・住民税・消費税、社会保険料の変化を昔と今で比較してみた!
 
 

・税制改正大綱は「法律そのもの」ではなく、翌年度以降の税制の方向性を示す方針である
・発表=すぐ生活が変わるわけではなく、実際の影響にはタイムラグがある
・税制改正の影響は一律ではなく、年収・家族構成・投資状況によって異なる
・2026年度は所得税の控除拡充により、年収帯によっては手取り増が見込まれる
・住民税は据え置きのため、負担減の実感には時間差がある
・NISA制度にも変更があるが、長期投資を前提とするなら慌てて動く必要はない
・扶養・子育て世帯は控除変更の影響を受けやすいため、今後の動向は要チェック
・多くの人にとって「今すぐ行動が必要」な改正は少なく、まずは自分が対象かどうかを整理することが大切

 

目次)

1.税制改正大綱とは何か?いつから変わる?

2.2026年度の税制改正で「影響が出やすい人・出にくい人」とは?

3.2026年度の税制改正で何が変わる?生活への影響をチェック

4.会社員の税負担・手取りはどう変わる?所得税・住民税の見方
4-1.年収の壁の引き上げはどう関係する?
4-2.そもそも所得税はどのように計算される?
4-3.2026年度の税制改正で変わるポイント
4-4.年収別の減税額はどれくらい?

5.投資をしている人は要注意?税制改正とNISA・非課税制度の関係
5-1.税制改正で投資判断を急がなくていい

6.扶養・子育て世帯は税制改正で何が変わりやすいのか

7.税制改正大綱のニュースを見て「今すぐやること」と「様子見でいいこと」

 

1.税制改正大綱とは何か?いつから変わる?

税制改正大綱とは、翌年度以降の増税や減税の方針、今後の検討事項をまとめた政府の方針文書です。税制は経済や社会の変化にあわせて毎年見直されており、その“方向性”を示すのが税制改正大綱です。

例年、秋ごろから与党の税制調査会で議論が始まり、12月中旬に閣議決定された内容が公表されます。ニュースで大きく報じられるのは、このタイミングです。

ただし、ここで大切なのは、税制改正大綱は「法律そのもの」ではないという点です。

翌年2月ごろに、大綱の内容をもとにした改正法案が財務省や総務省から提出され、国会で可決されてはじめて税金の仕組みが変わります。
さらに、施行日は法律ごとに異なり、新年度(4月1日)から始まるものもあれば、翌年・再来年から適用されるものもあります。

また、税制改正大綱は「年度(例:2026年度)」という単位で説明されることが多い一方、所得税などの税金は原則として「その年の所得(年分)」をもとに計算されます。そのため、制度の説明と実際に税金に反映されるタイミングには少し違いが生じることもあります。

マネキン

つまり、発表=すぐ生活が変わる、というわけではないんだニャ。


税制改正大綱は、今後の方向性を知るための“予告編”のようなもの。その後、法案の成立や施行時期を経て、ようやく実際の生活に影響が及びます。

ニュースではさまざまな項目が取り上げられますが、すべてを細かく理解する必要はありません。大事なのは、「自分の年収・家族構成・投資状況に関係する部分があるかどうか」を確認することです。

2.2026年度の税制改正で「影響が出やすい人・出にくい人」とは?

虫眼鏡で見るいろんな人のミニチュア

税制改正大綱が発表されると、「増税になる」「減税になる」といった見出しが目につきます。ただし、すべての人に同じ影響が出るわけではありません。

影響の出方は、人それぞれの状況によって大きく異なります。
たとえば、下記のような条件によって、影響を受けやすい人と、ほとんど変わらない人に分かれます。

• 年収の水準
• 配偶者の有無
• 扶養している家族がいるかどうか
• NISAを利用しているか
• 住宅ローン控除を使っているか

ニュースの見出しだけで「自分も増税かも」「得になるかも」と判断する必要はありません。大切なのは、「自分は対象に当てはまりそうか?」という視点で整理することです。

税制改正は一律ではなく、“条件次第”。まずはそこを押さえておきましょう。

3.2026年度の税制改正で何が変わる?生活への影響をチェック

マネキン

2026年度の税制改正で影響を受けやすい人を表にまとめたニャ!
次から、それぞれ詳しく解説していくニャ。自分が当てはまりそうな場合は要チェックニャン!

2026年度の税制改正で影響を受けやすい人チェック表

税制改正の影響は、一律ではありません。

たとえば同じ会社員でも、年収の水準によって影響の出方は変わります。また、独身か、配偶者や子どもを扶養しているかでも違ってきます。

さらに、NISAや住宅ローン控除などの制度を利用している場合は、制度の見直しがあれば影響を受ける可能性があります。これから利用を検討している人も、チェックしておきたいところです。

一方で、独身で投資や各種控除をほとんど使っていない場合は、今回の改正による影響は比較的出にくい傾向があります。

まずは「自分がどのグループに当てはまりそうか」を確認してみましょう。

4.会社員の税負担・手取りはどう変わる?所得税・住民税の見方

支給額を見つめる男女のミニチュア

会社員の手取りに影響する税制改正のニュースで、最近よく耳にするのが「年収の壁」という言葉です。

まずは、この「年収の壁」がどのような仕組みで生まれているのかを見ていきましょう。

4-1.年収の壁の引き上げはどう関係する?

最近ニュースで話題になった「年収の壁」の引き上げは、給与所得控除や基礎控除の引き上げを指します。

2024年時点では、所得税がかかり始める目安は年収103万円でした。
それが2025年分の所得からは160万円、さらに2026年分の所得からは178万円まで引き上げられる見通しです。

つまり、「一定の収入までは所得税がかからない範囲が広がる」ということです。

マネキン

また、社会保険料控除なども加味すると、実質的にはおよそ年収201万円程度までは所得税がかからないニャ。

4-2.そもそも所得税はどのように計算される?

次に、「なぜ年収の壁が生まれるのか」を理解するために、所得税の基本的な仕組みを見ておきましょう。

所得税は、給与収入から「給与所得控除」と、個々の事情に応じた16種類の「所得控除」を差し引いた“課税所得”に税率をかけて計算されます。
さらに住宅ローン控除などがある場合は、「税額控除」として税金そのものが差し引かれます。

つまり、「給与所得控除」「所得控除」「税額控除」が多いほど、課税対象となる所得が減り、その分税金も少なくなるのです。

4-3.2026年度の税制改正で変わるポイント

2026年度の税制改正大綱には、会社員の手取りに関わる見直しが複数盛り込まれています。主な内容は下記の通りです。

• 給与所得控除の特例の追加
• 基礎控除の引き上げ
• 基礎控除の特例部分の拡充

これらの見直しにより、課税所得が減り、結果として税金が軽減され、手取りが増える方向になります。

マネキン

ただし、すべての人が同じだけ恩恵を受けるわけではないニャ。

所得税の基礎控除の金額の表

基礎控除の特例部分は、給与収入によって金額が大きく異なる見通しです。
特に給与収入が665万円以下(厳密には665万5,556円以下)の人は、基礎控除の引き上げ幅が大きくなります。それを超えると引き上げ幅が縮小するため、恩恵は相対的に小さくなります。

4-4.2026年度の税制改正で変わるポイント

「単身世帯」または「配偶者控除が適用されない共働き世帯」の場合の年間減税額は次の通りです。

• 年収200万円…9,000円
• 年収300万円…8,000円
• 年収400万円…8,000円
• 年収500万円…2万8,000円
• 年収600万円…3万7,000円
• 年収800万円…8,000円
• 年収1000万円…8,000円
• 年収1500万円…1万3,000円

金額を見ると分かる通り、「大幅な減税」というよりは、年収帯によって差があるものの、数千円〜数万円規模の調整といえます。

ニュースの見出しほど劇的な変化ではない、というのが実情です。

一方、住民税の基礎控除は43万円(合計所得金額2,400万円以下の場合)で据え置きとなっています。住民税は地方自治体の重要な財源でもあるため、今回の税制改正では引き上げが見送られました。

また、住民税は「前年の所得」をもとに計算される仕組みです。
そのため、2026年分の所得税に関する改正があっても、住民税への影響が実際に表れるのは翌年課税となる2027年からになります。

税負担や物価上昇への対策については、こちらの記事でも触れています。
【実質賃金とは】給与が増えても生活が苦しいのはなぜ?実質賃金低下への対策は?

 

5.投資をしている人は要注意?税制改正とNISA・非課税制度の関係

税制改正大綱では、毎年のように投資制度も見直しの対象になります。とくにNISAなどの非課税制度は、家計への影響が出やすい分野です。

2026年度の税制改正大綱には、未成年でも利用できる新たな非課税制度「こどもNISA」の創設が盛り込まれています。

NISA制度の概要01

NISA制度の概要02

• 年間投資枠は60万円
• 子ども1人あたり生涯600万円まで投資可能
• 運用益(値上がり益・配当金・分配金)は全額非課税

18歳になると、こどもNISAで保有していた資産は自動的につみたて投資枠へ移行します。

たとえば、18歳までに600万円を投資していた場合、その600万円はつみたて投資枠へ移され、通常の非課税投資枠1,800万円のうち残り1,200万円分を利用できる仕組みになります。

このように、制度の創設や枠の見直しが行われることはありますが、毎年大きく変わるわけではありません。

重要なのは、「制度が変わる=すぐ売買しなければならない」というわけではないということです。NISAは長期投資が前提の制度です。情報が出揃ってから落ち着いて判断することが大切です。

NISAについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
2024年スタート!新しいNISAの賢い活用方法と疑問をQ&A式でプロが解説!

 

5-1.税制改正で投資判断を急がなくていい

NISAの制度改正があるからといって、これまで続けてきた投資を急にやめたり、方針を大きく変えたりする必要はありません

NISAは、積立・分散投資を通じて時間をかけて資産形成を行う制度です。短期的な制度変更よりも、「長く続けること」のほうが重要です。

今回の税制改正大綱では、つみたて投資枠で投資できる投資信託の対象指数にいくつかの追加が示されています。主な変更点は下記の通りです。

• 国内市場の「読売株価指数」「JPXプライム150指数」が指定指数に追加
• 一定の広がりを持つ先進国・新興国株式指数に連動する投資信託の追加
• 債券の比率が50%を超える投資信託の追加

こうした変更にあわせて、新しい投資信託の商品が登場する可能性があります。

しかし、新商品が必ずしも有利とは限りません。実際には、販売後に資金が集まらず低迷する投資信託もあるからです。

マネキン

「新しく始まった」「話題になっている」という理由だけで飛びつくと、想定外の値動きやコスト負担により、資産を減らしてしまうこともあるから冷静な判断が大切ニャ。

6.扶養・子育て世帯は税制改正で何が変わりやすいのか

リビングにいる4人家族

ここ数年、扶養や子育て世帯を対象とする税制は見直しが続いています。

扶養の状況によって利用できる控除は異なります。主なものは次の通りです。

• 配偶者を扶養している場合の「配偶者控除」「配偶者特別控除」
• 16歳以上の子どもなどを扶養している場合の「扶養控除」
• 19歳〜23歳の大学生年代を扶養している場合の「特定親族特別控除」

このうち特定親族特別控除は、2025年度の税制改正で創設された制度です。
大学生年代の子どもがアルバイトなどで収入を増やしても、親の控除が急激に減らない仕組みとなり、家計への影響を緩和する内容になっています。

2026年度の税制改正大綱では、特定親族特別控除のような大きな変更はありませんでした。ただし、扶養や控除の見直しは税制改正の対象になりやすい分野です。今後変更があれば、手取りに影響する可能性はあります。

マネ男

それぞれの控除について詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。


確定申告で損しない!扶養控除・配偶者控除・特定親族特別控除 家族構成の変化や「年収の壁」の変更による見直し方

共働き世帯や子どもがいる家庭は、控除の拡充があれば手取りが増えることにつながりますが、逆に縮小されれば影響も受けやすい立場です。

一方で、児童手当が高校生年代まで拡充されたことを背景に、「高校生年代の扶養控除の縮小」が検討された経緯もあります。

今回の税制改正大綱では見送りとなりましたが、将来的に再び議論される可能性はあります。もし縮小されれば、高校生を育てている世帯では手取りが減るケースも想定されます。

現時点で大きく動く必要はありませんが、扶養や控除を利用している世帯は、税制改正の動向を定期的に確認しておくと安心です。

子どもの扶養については、こちらの記事もぜひチェックしてください。
【子どもの扶養】共働きの場合どちらに入れるべき?年収アップや転職の際は要チェック!

7.税制改正大綱のニュースを見て「今すぐやること」と「様子見でいいこと」

リビングにてテレビを見る日本人の女性の後ろ姿

ここまで税制改正大綱のポイントを紹介してきましたが、実は多くの人にとって「今すぐ何かをしなければならない」というケースはほとんどありません。

確かに、「ある控除が使えなくなる」「〇年までに対象外になる」といった改正がある場合は、その期限を意識して行動したほうがよいこともあります。
ただ、少なくとも2026年度の税制改正大綱では、そうした「急いで動く必要がある変更」は見当たりません。

また、税制改正は発表されてから実際に適用されるまでに時間がかかることが多くあります。さらに、自分に関係する改正であっても、年末調整や確定申告で自動的に反映されるケースも少なくありません。思っているほど、特別な手続きが必要ないことも多いのです。

改正法案は通常、翌年の通常国会で審議され、例年は3月ごろに成立することが多いとされています。その後、法律ごとに定められた施行時期にあわせて、実際の制度として適用されていきます。

マネキン

ニュースを見て不安になるよりも、成立後に「自分は対象かどうか」を確認し、必要なら情報を追いかける。それくらいのスタンスで十分なんだニャ。


マネ男

焦らず、様子を見ながら判断していけばいいんだね。


マネ娘

OK!そうしたら10年に1回くらいのペースで確認してみよう。


マネキン

それは様子見すぎだニャ!

 

【この記事を読んでる人にオススメ】
30年間でこんなに税金が増えている!?所得税・住民税・消費税、社会保険料の変化を昔と今で比較してみた!
【子どもの扶養】共働きの場合どちらに入れるべき?年収アップや転職の際は要チェック!
共働き夫婦は税金で損?お得?節税対策で大きく手取りも変わる!
【夫婦の節税】結婚すると税金が安くなる!ケース別にシミュレーション 

 

 

執筆者:頼藤太希(よりふじ・たいき)
頼藤太希

経済評論家・マネーコンサルタント
Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。日経CNBCコメンテーター。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki