なぜ円安が起こっている?円安・円高の基本から家庭への影響、その対策まで解説!
目次:
1. 最近話題の「円安」はつまりどういう状況?為替相場の基本
1-1. そもそも円高・円安とは?
1-2. 円安と円高はどっちが良い?
2.円安が続くと家計にどんな影響がある?
3.円安の今後の予想とこれからの考え方
4.円安から生活を防衛するには?
このところずっと円安のニュースが頻繁にやってるけど、なんでそんなに円安が進んでるんだろう?
私も気になってた。この前教えてもらった食料品の値上がりの話でもそうだったけど、実際に私たちの生活にどんな影響があるのかまではあまり実感もできてないし、どのくらいまずいことなのかもよくわかってないんだよね…。
円安は日本で生活する人にとってデメリットが多い状況ニャ!このまま円安に進むと、家計にもかなり負担が出てくるニャ。
そのイメージはあるんだけど、なぜそうなるのか、そもそも円安がどういう状態なのかもイマイチ理解できてない…!
仕方ないニャ〜。よし、マネキンに任せるニャ!
今回は、円安・円高の基本と、それらが生活にどんな影響を及ぼすか、また、その対策までわかりやすく説明するニャン!
日本のいまを知ることでもあるから、自分ごととして考えてほしいニャ。
1. 最近話題の「円安」はつまりどういう状況?為替相場の基本
最近、テレビやネットのニュースで「円安」に関する報道が増えているニャ。
マネ男マネ娘が言うように、「20年ぶりの1ドル=○円」のような数字を見てもピンとこないかもしれないけど、この円安は最近の物価の値段が上がっていることと大きく関係してるニャン。
そもそも円高・円安とは?
まず円高・円安とはどういう状況のことを指すのかおさらいしましょう。
多くの国では自国通貨を発行しています。ユーロ圏のように複数国家が1つの通貨を持つこともありますが、日本なら「円」が通貨として発行され流通しています。アメリカに行けば「ドル」が通貨となっています。
海外に旅行に行った場合、買い物にあたってはその国の通貨が必要です(クレジットカードを使えば、外貨を持たなくても海外の通貨で決済することも可能)。
それぞれの国が通貨を持つ場合、「交換レート」が必要になります。
「1ドル=○○円」と報道される数字はこの交換レートのことニャ。
この交換レートは常に固定されているわけではありません。
各国の経済政策や経済状況を勘案して日々適切な交換レートが模索され、ダイナミックに変化していきます。
たとえばハンバーガーやスマートフォンなど、モノを作るときの基本的な生産コストは同じだと考えれば、日本で買っても海外で買っても値段は同じになるはずです。
しかし、日本と海外の経済の差、金利差、あるいは物価の変化などが生じていくので、交換レートが変化していくことになります。
20年ほど前は「1ドル=90円」のように100円を切っている状態にありました。
今年の頭には「1ドル=115円」だったところ、一気に円安が進み「1ドル=140円」前後の数字になっています(2022年9月時点)。
20年前に比べて、1ドルと交換するのにより多くの円が必要だということがわかりますね。これが、円の価値が低くなるという状態です。
※ドルと円の比率を示すとき、基本的には1ドルをベースに円の比率を変化させて示します。
つまり、
外国通貨と交換する際に円の数字が多くなることを「円安」
円の数字が少なくなることを「円高」
といいます。
20年前は今よりもずっと円高で、今は急速に円安に変化していることになるニャ。
円安と円高はどっちが良い?
円安・円高がどういう状況なのかはわかったけど、円安が日本に住む人にとってデメリットが多いのはどうして?
一般的に、国力の高い国の通貨のほうが強くなるとされ、日本円の力が強まるほうが円高というニャ。例を挙げながら説明していくニャン。
例えば、円高の「1ドル=90円」と円安「1ドル=135円」を比較した場合、アメリカで10ドルの買い物をするために900円(円高の場合)で買えるか、1,350円(円安の場合)で買えるかで、どちらが良いかと考えてみれば、円が強い円高のほうが良いということになります。日本の円の価値が高いということだからです。
わかりやすい!じゃあ円高のほうが私たちにとって良い状況ってことだよね?
話はそう簡単じゃないニャ。
なぜなら、外国で商売をする日本企業の売り上げには「円安がプラス」に働くからニャン。
アメリカで10ドルの売り上げをたてて、日本に帰ってきたとき、先ほどの例なら日本円で「売り上げ900円(円高の場合)」となるか「売り上げ1,350円(円安の場合)」となるかは大違いですよね。ドルで見た場合には同じ売り上げ(10ドル)が、日本では違ってくることがあるわけです。
なるほど。確かに円安のときに外国で商売をしていたら、逆の考え方ができるね。
さらに別の見方もできるニャ。
今度は、外国から輸入した商品を日本で購入する場合を考えると、今度は逆に「円安がマイナス」になってくるニャン。
例えば、アメリカで10ドルの商品を日本に輸入して日本で販売するとき、900円(円高の場合)の値札がつくのと、1,350円(円安の場合)の値札がつくのとでは値頃感が全く違ってきます。
お店によっては「1,350円の値札をつけたら売れなくなるので、自分たちの利益を減らして1,200円の値札にしておこう」となるかもしれませんが、それでも円安のほうが「円としての値段」は高くなってしまいます。
このように、円安と円高どちらが良いかは、為替が影響する立場によって大きく違ってくるんだニャン。
2.円安が続くと家計にどんな影響がある?
円高・円安について、その仕組みまでしっかりと理解できた!
いまのような円安の状態が続くと、僕たちの生活にはどんな影響が出るんだろう?ニュースを見ていると、歴史的にも数十年ぶりの円安みたいだけど…。
その通りで、今年に入ってからの円安は急激なものニャ。
今回の円安基調の背景には、日米二国間の金利差やインフレの状況など経済政策の影響、国際的な政情不安の影響があるとされます。
しかし、前提として世界的に生じているインフレやモノの値段の上昇があったことも大きなインパクトがあります。
例えば、アメリカでランチを食べるのに2,000円かかると話題になったことがありますが、実はアメリカのコーヒーショップの時給は2,000円前後といわれています。
これはインフレに伴いモノの値段と時給がアップした影響です。つまりアメリカで生活をする人にとっては、日本で時給900円で900円のランチを食べるのと同じ感覚なのです。
しかし、アメリカの食品を日本に輸入したとすれば、値上がりした商品を持ってくるわけですから、円安の影響がなくても値上がりすることになります。
実際、食料品、石油や天然ガス等の資源エネルギーなどの価格は近年大きく高騰していました。もともと値上がり傾向であったところにロシアとウクライナの国境紛争が拍車をかけています。
日本は資源や食料の多くを輸入に頼っている国ニャ。
そうなると、「海外での値上げ傾向」×「円安」という形で、日本のモノの値段に影響が生じ始めるニャン。
車のガソリン代が大きく上昇しているのは皆さんもご存じのことでしょう。電気代やガス代も1年で20%くらい上がっています。
他にも、小麦の値段が大幅に上昇したことにより、食パンなどは同一年内に2回の値上げを行っています。当たり前のように購入していた朝食のパンも、10%以上の値上げがなされているわけです。
つまり、円安のニュースを耳にしたとき最も気をつけなければならないのは、国内の「物価上昇」ってことなんだね。
そうニャン!
円安・円高の良し悪しは人によると言ったけど、以上のことをふまえると、一例として、いま起きている円安のメリット・デメリットはこのようになるニャ。
3.円安の今後の予想とこれからの考え方
日本ではこの数十年、モノの値段は大きく上がってきませんでした。
むしろ高品質はそのままに価格を抑えた衣料品が普及したり、100円ショップに代表されるように低コストでいろんな商品が購入できるようになりました。
ところが今年については、こうした「なんでも安く手に入る時代の終わり」が来ている可能性を考えたほうが良いニャン。
新聞社の調査では、1年前と比べてスーパーマーケットの主要商品の62%が値上がりしていたそうです。今後も各社の値上げ情報が目白押しでほとんどの商品が年内には値上げされることになるでしょう。
先日、スマートフォンの価格が約20%値上げされてニュースになりましたが、そのほとんどが円安を価格に反映したものでした。
原材料の価格が10%以上値上げされ、円安もこの半年で10%以上進展したなか、10%以上の値上げはもう珍しくないということです。
ごく普通に買い物をして、特に贅沢をしているつもりがなくても、毎月の家計が赤字になるのが「円安赤字」の怖さです
例えば、1ヶ月15万円でやりくりをしていた家計があったとき、10%の値上げがあったとすれば、普通の生活をしていれば1.5万円の赤字になると思うくらいの感覚を持ちましょう。
うぅ、ニュースで聞く話がどれだけまずいことなのかわかったよ…。
円安はもはや、海外や大企業に関連した遠いニュースじゃないね。
この円安時代に向けた対策を知りたい!
もちろんニャ!次に対策を教えるニャン。
4.円安から生活を防衛するには?
家計の「見える化」を始めよう
円安時代に最優先でやるべきことは家計の見える化ニャ!
円安からくるさまざまな値上げは、ひとつひとつの商品では数十円から100円くらい小幅になることもあるため、なかなか実感できません。しかし、気づけば大きな赤字になってきます。
まずは毎日の買い物の「費用」に対して自覚的になりましょう。
いつもの朝食としてパンと牛乳を買うときも、いくらなのか意識します。なんとなくレジに向かう習慣はもうおしまいです。自分のお気に入りブランド以外の商品価格、セール価格などにも注目してみましょう。
ドキッ(なんとなくレジに向かうの、私だ…)
また、ひとつひとつの買い物だけではなく、1ヶ月の家計全体をチェックしたい場合は、家計簿アプリがオススメです。今ではレシートをスマホカメラで撮影するだけで入力が完了しますし、銀行やクレジットカードのアカウントを連携すれば自動入力もされます。
自分に合うやり方でしっかり家計を「見える化」し、無駄遣いや割高な買い物をあぶりだしていきましょう。
家計簿アプリについては以下の記事で詳しく説明してるニャ!
オススメの家計簿アプリや、家計簿をつける際のコツも紹介してるから合わせて見てほしいニャン。
長期的な対策として投資も視野に入れる
今まで資産運用を考えてこなかった人、あるいは国内だけに投資をして、外国への投資に目を向けてこなかった人はこれを機に、海外への投資に目を向けてみるのも選択肢です。
例えば、投資信託を活用することで、外国の株式に広く投資をすることができます。
外国の企業が成長し、かつ円安に振れると大きな利回りにつながることがあります。
ただし、短期的に為替で儲けようとすると、為替が逆に動いたときなど大きな損失を被る可能性もあるニャ。金額は無理のない範囲で行い、中長期的な経済成長からリターンを得る投資を行うことをオススメするニャン!
今回の円安は、私たちの日常生活にも大きな影響を与えています。テレビやネットのニュースに注目しながら、目の前の生活への影響も考えてみてください。
今までも家計の見直しは何度か教えてもらっていたけど、この円安時代でより力を入れるべきだね。マネ男、協力してね?
もちろん!まずお互いの無駄遣いを少なくするところからだね…。
ホントだね…。
必ず将来の生活の安心につながるから、が、がんばってほしいニャ…!
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フィナンシャル・ウィズダム代表
ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー
確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門2017年2月からは、厚生労働省の確定拠出年金の運用に関する専門委員会で委員を務め、DC法改正の議論にも参画している。
ファイナンシャルプランナーとしては分かりやすく読みやすいお金のコラムが人気で、Yahoo!ニュース、日本経済新聞電子版、東洋経済オンライン、プレジデントオンラインなど、連載12本を抱える人気FPのひとり。近著に「共働き夫婦 お金の教科書」(プレジデント社)、「スマホ1台で1000万円得する!マネーアプリ超活用術」(PHP出版社)などがある。近著に「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)などがある。