マイナンバーカードは危険?安全?リスクとセキュリティ対策、今後の展開をご紹介!
目次)
1. マイナンバーカードでできることは?
2. マイナンバーカードのセキュリティ対策はどうなっている?
2-1. マイナンバーカード自体のセキュリティは?
2-2.「法律」で定められた「マイナンバー法」
3. 他にもリスクはある?その対策・解決方法は?
3-1.顔写真の偽造や代理人によるなりすましがあったら?
3-2.マイナンバーカードを利用した詐欺にあったら?
3-3.金融機関の口座との紐付けが心配
4.さらに使い方が広がる!今後予定されているマイナンバーカードの施策
ねえ、マネ娘はマイナンバーカード、もう作った?
うん、マイナポイントがもらえるキャンペーン中に作ったよ。
そっかー、私も作ろうと思うものの、どんなことに使えるのかピンときてなかったり、個人情報の漏洩とかが心配だったりでちょっと抵抗があってまだ作れてないんだよね。
確かにマイナンバーカードのセキュリティリスクが心配って声は聞くよね。私も作っただけでメリットやリスクに関してはよくわかってないな…。こういう時はマネキンに教えてもらうのが一番!マネキーン!
話は聞いてたニャ!それじゃあ今回は、マイナンバーカードを作るメリットやリスク、セキュリティ対策、政府の取り組みの最新情報までまるっと教えるニャン。
1.マイナンバーカードでできることは?
総務省によると、2022年11月27日時点でマイナンバーカードの申請件数は約7568万件、人口に対する申請件数の割合が60%を超えたニャ。まずは、マイナンバーカードの基本をおさらいするニャン!
マイナンバーカードは、ICチップがついたプラスチック製のカードです。
マイナンバーカードには、氏名・住所・生年月日・性別・顔写真・マイナンバー(個人番号)が記載されています。
2016年からはじまったマイナンバー制度によって、日本に住む国民一人ひとりに12桁のマイナンバーが割り振られました。マイナンバー制度の目的は、社会保障・税・災害対策分野の個人情報をマイナンバーと結びつけること。
それによって、行政を効率化したり、公平に税を集めたり、困った人に速やかに支援を行ったりすることを目指しています。
マイナンバーカードは、マイナンバー制度と同じく2016年から交付がスタートしました。しかし、マイナンバー制度にマイナンバーカードが必要かというと、そうではありません。マイナンバーカードはマイナンバーの書かれた本人確認書類というだけで、作るかどうかは本人が決めることができます。
マイナンバーカードを作るメリットとしては、主に次のようなものがあります。
・行政手続きが簡略化できる
マイナンバーカードがあると「マイナポータル」を利用することができます。マイナポータルでは、行政手続きがオンラインでできるほか、行政が持っている自分の情報を確認できます。
・公的な身分証明書として利用できる
運転免許証やパスポートなどと同じく、マイナンバーカードも公的な身分証明書として使えます。
・住民票や印鑑証明がコンビニで発行できる
これまで役所の窓口などで発行していた住民票や印鑑証明をコンビニで発行できます。しかも、休日や深夜でも発行でき、窓口よりも100円安く手に入ります。
・保険証として使える
2021年10月から、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」が導入されました。マイナ保険証が利用できるのは、「マイナ受付」のステッカーやポスターのある医療機関・薬局。受診するときに、マイナンバーカードを専用のカードリーダーにかざすと利用できます。
厚生労働省によると「2023年3月末にはおおむねすべての医療機関等での導入を目指す」としているため、今後も利用できる医療機関・薬局は増える見込みニャ!
マイナ保険証を利用すると、
◯就職、転職、引越しをしても健康保険証として使える
◯自分の医療費の情報を確認できる
◯健診や薬の情報を確認できる
◯高額な医療費がかかっても、高額療養費制度が自動的に適用される
といったメリットがあります。
あれ、高額療養費制度ってなんだっけ?逆にマイナ保険証を使わないと自動的に適用されないの…?
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月の限度額を超えたときに、その超えた分を払い戻してもらえる制度です。
マイナ保険証を使わずに高額療養費の払い戻しを受けるには、加入している公的保険に自分で請求する必要があるニャ。その上、払い戻しに3ヶ月程度の時間がかかるニャン。
高額な医療費の立替が大変な場合は、事前に限度額適用認定証を発行してもらえば、負担が限度額までで済みますが、申請にはどうしても手間がかかります。
その点、マイナ保険証を使えば、医療機関で高額療養費制度が自動的に適用されるため、高額療養費や限度額適用認定証などの申請が不要に。
もちろん、医療費の立替も必要ないので、とても便利です。
・きめ細やかな社会保障・給付が短期間で受けられる
たとえば、災害の被災者に対して迅速な給付を行うなど、複数の機関・制度をまたいだ支援ができるようになります。
こんなにできることがあるんだね〜!災害の多い日本にとって、社会保障・給付が短期間で受けられるのは心強いや。セキュリティ対策やリスクも知っておきたい!
2.マイナンバーカードのセキュリティ対策はどうなっている?
マイナンバーカード自体のセキュリティは?
まず、マイナンバーカードから個人情報が抜き取られてしまったり、情報が漏洩したりといったことが起きないか心配!
その心配は不要ニャ。なぜなら、マイナンバーカードのICチップには、預貯金額や健康情報といった重要な個人情報は保存されていないからニャ!
マイナンバーカードのICチップには、本人証明のために使える電子証明書が2つ搭載されています。
①利用者証明用電子証明書
利用者証明用電子証明書は、「マイナポータル」にログインしたり、コンビニで住民票や印鑑証明を発行したりする際に利用できる証明書。暗証番号は4桁の数字です。
②署名用電子証明書
署名用電子証明書には、氏名、住所、生年月日、性別が記載されています。
e-Tax※ を利用した確定申告を行うときなどに利用します。暗証番号は6桁から16桁の英数字です。なお、15歳未満のマイナンバーカードには、署名用電子証明書を搭載できません。
※国税庁が運営する、国税に係る申告・申請・納税に係るオンラインサービス
仮にマイナンバーカードが盗まれるなどして、第三者が電子証明書を利用した電子認証をしようとしても、利用者証明用電子証明書のパスワードは3回、署名用電子証明書パスワードは5回連続で間違えるとロックがかかります。
そしてロックがかかると、市区町村の窓口でパスワードの再設定が必要になるニャ。
さらに、マイナンバー制度があって、マイナンバーで情報が紐づいていても、それぞれの情報は自治体・健保組合・年金機構・ハローワークなどの各機関が分散して管理しているため、芋づる式に情報が漏洩することはないとされています。
マイナンバーカード自体も複雑な構造になっていて、セキュリティがしっかりしているんだね!
「法律」で定められた「マイナンバー法」
さらに、マイナンバーの取り扱いは、「マイナンバー法」で厳格に定められているニャ。具体的には、次のような法律によって、個人情報が守られているニャン。
①本人確認の徹底
マイナンバー法第 16条などにより、行政がマイナンバーを取得する場合は、本人確認をしなければなりません。本人確認の方法には、
・顔写真入りのマイナンバーカードを提示する
・マイナンバー通知カードまたは住民票+運転免許証またはパスポート、または健康保険証と年金手帳など2つ以上の書類を提示することが必要です。
これによって、本人のなりすましを防いでいます。
②利用目的の明示
マイナンバーを取得する場合は、個人情報保護法第18条第1項に基づき、利用目的を本人に通知または公表しなければなりません。
だから、「知らないところで使われていた」ということを防げるんだニャ!
③特定個人情報の収集・保管の禁止
マイナンバー法第19号で限定的に明記された場合を除き、他人(自己と同一の世帯に属する者以外の者) の特定個人情報を収集したり、保管したりしてはいけないことになっています。
これらの法律に違反した場合には、懲役刑や罰金刑が課せられることになっています。
3.他にもリスクはある?その対策・解決方法は?
マイナンバーカードのセキュリティの高さや、マイナンバーの情報が厳格に管理されていることはわかった!それでも、もし何らかの被害にあったらどうすればいいの…?
確かに100%安全!とは言い切れないニャ。万が一のために、リスクとその対策や解決策を教えるニャ。
顔写真の偽造や代理人によるなりすましがあったら?
マイナンバーカードを利用した本人確認では顔写真を確認するため、本人以外のなりすましは相当程度防げると考えられます。しかし、例えばマイナンバーカードが盗まれ、悪意のあるものが偽造した写真を貼ってなりすましたり、マイナンバーカードに記載されている情報からなりすましたりする可能性もあります。
クレジットカードなどと同様、マイナンバーカードの盗難・紛失などがわかった場合は、すぐにお住まいの自治体に連絡し、マイナンバーカードの利用停止を行うことが大切ニャ!
紛失・盗難によるマイナンバーカードの一時利用停止は、電話で24時間365日体制で受け付けています(マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178)。
マイナンバーカードを利用した詐欺にあったら?
マイナンバー制度・マイナンバーカードをめぐる詐欺も発生しているようです。
犯罪者は、巧みな手口でマイナンバーや金融機関の口座番号・暗証番号を聞き出したり、通帳やキャッシュカードを預かったり、手数料などを要求したりしてきます。
しかし、行政機関の職員などが、これらの行為を行うことは絶対にありません。また、自宅を訪問して、マイナンバーカードなどを預かったり、スマホの操作を依頼したりすることも絶対にありません。
もしそうした連絡があったら詐欺ニャ。すぐに警察などに届け出るニャン!
金融機関の口座との紐付けが心配
銀行口座や証券口座を作る場合には、マイナンバーを提出する必要があります。しかし、すでにお話ししたとおり、マイナンバーカードがなくても、マイナンバー制度自体は実施されていて、マイナンバーは口座開設に必要です。それに、マイナンバーを提出しても、行政の職員が残高などを見ることができるわけではありません。
このように、もし何かあっても、解決策は絶対にあるから焦らずに対処していくニャ。また、他人がマイナンバーカードを預かるなど、禁止されている取り扱い方を知っておくことで、詐欺対策にもつながるニャン!
4.さらに使い方が広がる!今後予定されているマイナンバーカードの施策
最後にマイナンバーカードの施策を紹介するニャ。今後もさらに使い方が広がりそうなんだニャン。
【導入予定のもの】
・Androidスマホにマイナンバーカードの搭載が可能に
2023年5月11日から、Andoridスマホにマイナンバーカードの機能が内蔵できるようになります。Androidスマホのユーザーは、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマホでマイナンバーカードの各種機能を利用できるようになります。
・マイナ保険証一本化による健康保険証の廃止
マイナ保険証が利用できるようになりましたが、現状はこれまでの健康保険証も引き続き利用できます。しかし、2024年秋には健康保険証を廃止して、マイナ保険証に切り替えることが発表されています。マイナンバーカードの発行は今のところ任意ですが、事実上、取得する必要がでてきたといえます。
なお、どうしてもマイナンバーカードを取得したくないという人には、健康保険証に変わる新たな制度を用意するという話も出ていますが、詳細はまだ明らかになっていません。
・運転免許証との一体化
マイナンバーカードは運転免許証とも一体化。希望者はマイナンバーカードに運転免許証の情報を記録できるようになります。実現すれば、免許証の住所変更の手続きが自治体への申請だけでできるようになる他、免許の更新も居住地以外でできるようになる予定です。
マイナンバーカードと運転免許の一体化は2024年度末の予定となっていますが、前倒しで実現する可能性もあります。
・引越しワンストップサービス
引越しをすると、さまざまな住所変更や電気・ガス・水道などの利用手続きなどが一気に必要になります。これまではそれぞれの自治体や企業などに個別に行っていた手続きを、引越しワンストップサービスなら一度で済ませることができるようになります。
引越しポータルサイトに必要な情報を入力し、マイナポータル上で手続きをすると、引っ越しに関する手続きが完了します。手間が減らせるのはもちろん、手続き漏れを防ぐことにもつながります。本格展開は2025年度以降の予定です。
【導入が検討されているもの】
・iPhoneへのマイナンバーカード搭載
Androidにはマイナンバーカードが搭載されることが決まっていますが、iPhoneにはまだ搭載が決まっていません。報道によると、マイナンバーカードの搭載に必要な機能がiPhone(iOS)では解放されていないためとされています。
・オンライン市役所サービス構想
マイナンバーカードを基盤に、市役所に行かなくてもサービスが受けられる社会を目指すものです。引っ越しや子育て・介護・災害などの手続きに加えて、その他のさまざまな手続きもマイナンバーカードで完結するようにしたり、スマホに市政だよりや本人向けのお知らせが届いたりする仕組みも検討されています。
・市民カード化構想
マイナンバーカードを、例えば図書館カード、印鑑登録証、在留カード、各種資格証明書等として利用できるようにする取り組みも進められます。
・安全・便利なオンライン取引構想
公的な手続きだけでなく民間サービスでもマイナンバーカードが利用できるようになる見込み。すでに証券口座や銀行口座などの口座開設時に本人確認書類として利用されていますが、さらに生保・損保・信販契約など、さまざまな民間サービスで利用できることを目指しています。
運転免許証との一体化や引越しワンストップサービスとか、実現したらとっても便利だね!マイナ保険証一本化のことも考えると、今のうちにマイナンバーカードを作った方が便利だし良さそうだなぁ。
そうニャ。前述のとおり、今後も国や政府でマイナンバーカードの普及のための取り組みは実施され、活用できる範囲も広くなっていく見込みニャン。
今後の生活を便利にするためにも、セキュリティ対策やリスクを理解した上でマイナンバーカードを作成するのがオススメニャン!
こんなに利用範囲が広がる予定があるのは知らなかった!気になったんだけど、マネキンは猫だからマイナンバーカードは持ってないよね…?
ふふふ、秘密ニャン。
(おかしなペットだなぁ)
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執筆者:頼藤 太希
(株)Money&You 代表取締役/経済ジャーナリスト
中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。