同棲・結婚相手の収入や貯金を知ると生活の不安が消える! 話し合いのポイントと将来への備え方

結婚や同棲など、パートナーとの新生活を始めるとき、インテリアや休日の過ごし方については話し合うのに、「お金の話」は後回しになりがちです。
「好きで結婚したのだから、きっと大丈夫」「お金の話をするとケンカになりそう」——そんな思いから、収入や貯金について切り出せないまま生活を続ける方も少なくありません。でも、このまま曖昧にしておくと、思わぬリスクにつながることもあるのです。

彼氏と同棲する話が出ているけれど、確かにお金の話はしづらくてしっかり話せてないんだよね。お姉ちゃんはどう思う?

私はマネ男と結婚する時に話したよ。話しづらい気持ちはわかるけど、ふたりのためにもちゃんと話した方がいいよー。

でも、どんなことを確認すればいいんだろう。重い雰囲気にならないように話したいし、マネキン、コツを教えて!

任せてニャ!パートナーと一緒に確認しておきたいお金のことをわかりやすく教えるニャン。「なんとなく言い出しづらい」と感じている人でも切り出しやすい方法や、おすすめの話し合い方・管理のコツも紹介するから、ふたりの未来を安心して描くための第一歩にしてニャ。

・パートナーの収入や貯金を確認しておくことで、将来設計や貯蓄計画が立てやすくなり、不安の少ない生活ができる。
・パートナーのお金まわりを知らないままだと起こる3つのリスクは、
- 貯金ができない
- ライフプランが立てられない
- 金銭感覚のズレで揉める恐れがある
・話し合うべきお金の項目と優先順位は、収支・貯蓄・借金から話し合い、理想の暮らし方や管理方法へ段階的に進めるとよい。
・スムーズにお金の話を切り出すコツは、歩み寄り、目的を伝え、自分からオープンにすることで穏やかに話せる。
・定期的な「家族マネー会議」を続けることで、ふたりの未来を描く一歩となる。
目次)
1.データで見る「相手の収入や貯金を知らない」現状
2.相手の収入や貯金を知らないと起こるかも知れない!3大リスク
3.お金の話、2人で確認したいことリスト
3-1.【最重要】これだけは確認しよう!
3-2.【重要】できれば確認しよう!
4.パートナーとお金の話をするときのコツは?
5.定期的に話す・見直す仕組みをつくろう
1.データで見る「相手の収入や貯金を知らない」現状
まずは、カップルや夫婦のあいだで、どれくらいの人が“パートナーのお金事情”を把握していないのか、データを見てみましょう。

セゾン自動車火災保険が2021年12月に全国の30代〜50代の男女1,000名を対象に行った調査によると、生計を共にする配偶者や家族の収入について「すべて知っている」と答えた人は35.2%でした。
つまり、残りの64.8%もの人が「一部知らない・わからないことがある」または「お互いひとつも知らない」と答えており、実に6割以上のカップルがパートナーの収入を完全には把握できていないことがわかります。
この結果を男女別に見ると、男性は71.1%、女性は58.5%と、特に男性の方が相手の経済状況を知らない傾向があるようです。
では、なぜパートナーの収入を確認しないのでしょうか。
主な理由として、次のような理由が挙げられます。
「お金の話は生々しくて、何となく聞きづらい」
「何から話せばいいかわからない」
「相手に管理を任せているから、自分は知らなくてもいい」
「お金の話をすると、相手が嫌な顔をしたり、喧嘩になったりするから」

最近は財布を別々に管理する共働き夫婦も増えてきているし、あえて詳細を伝えずに暮らす人も多いんじゃないかなぁ。

でも、相手の収入や貯金を知らずに過ごしていると、将来的に思わぬリスクを抱える可能性があるニャ。
2.相手の収入や貯金を知らないと起こるかも知れない!3大リスク

パートナーの収入や貯蓄額を知らないまま生活を続けると、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは、起こり得る主なリスクを3つ紹介します。
①お金が貯まらない
お金について話し合っていないと、「相手が貯めてくれているだろう」「自分はこれくらい使っても大丈夫だろう」とお互いに思い込んでしまい、気がつくと「共働きなのに全然お金が貯まっていない」という状況に陥ることがあります。
また、家計管理の役割分担が曖昧なままだと、一方の負担が大きくなって不満が溜まったり、貯金ができていないことがわかったときに責任のなすり合いから口喧嘩に発展してしまうかもしれません。
②ライフプランが立てづらくなる
子どもの教育費、マイホーム購入の頭金、老後資金など、人生には大きなお金が必要になるライフイベントがいくつも訪れます。将来的に子どもがほしい、家を買いたい、大きな夢を叶えたいと考えているなら、お金を貯める計画は欠かせません。
そのためには「世帯全体でどのくらいの資産があるのか」「お互いに毎月いくらずつ貯められるのか」という現状把握が必要ですが、収入や貯蓄額が曖昧なままでは具体的なライフプランが立てづらく、夢の実現が遠のいてしまいます。
さらに、お互いに借金の存在を伝えていない場合は、状況がより深刻になります。たとえば共働き夫婦が住宅ローンを組む際には、ペアローンや収入合算で申し込むことも多く、その際には夫婦双方の信用情報が審査されます。一方に借金や延滞歴があるとローン審査に通らず、マイホーム計画が頓挫してしまう可能性もあるのです。
住宅ローンの種類や借り方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
・金利が上昇!これからの住宅ローンの借り方は?オススメは固定金利?変動金利?!
・家を購入するなら、住宅ローンは変動?固定?フラット35?どれがいいの?
③「金銭感覚のズレ」からトラブルに発展する
株式会社エミリスの「お金に関する夫婦喧嘩についての意識調査」では、夫婦喧嘩の原因第1位が「金銭感覚の違い」だったそうです。この「金銭感覚のズレ」は、お互いの経済状況を知らないことで深刻化しやすくなります。
何にお金をかけたいのか、その優先順位は人それぞれです。いくら好きで結婚しても、必ずしもお互いが「将来のために節約して貯金を」と考えているとは限りません。
一方が節約を頑張っていても、もう一方が趣味や交際費にお金を使いたいと考えていると、不満が募っていくことは想像に難くありません。

あとは、同じ「節約」でも方法によっては、パートナーの目には「ケチ」に映ることもあるニャ。こうした価値観の違いが積み重なることで、ふたりの関係に亀裂が入るきっかけになってしまうかもしれないニャン…!
日頃から互いに貯金額やお金を使いたいことなどを共有していれば、これらのリスクの多くを回避できると言えます。
なぜならば、お金の話をオープンにすることで、お互いの価値観を理解し、信頼関係が深まるから。互いの状況がわかることは、ふたりで協力して将来の夢を叶えていくモチベーションにつながるのではないでしょうか。
それでは、お金の話をする際、具体的に何を確認すればよいのかを見ていきましょう。
3.お金の話、2人で確認したいことリスト

「さあ、お金の話をしよう!」と思っても、何から話せばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは、理想の将来を叶えるために、パートナーと一緒に確認しておきたい項目をリストアップしました。
お金の話に苦手意識がある方は、まずは重要度の高い最初の3項目から話し合うだけでも大きな一歩。その一歩を踏み出せたら、少しずつ残りの項目についても話し合い、最終的にお互いの状況をすべて共有できるとよいですね。
3-1.【最重要】これだけは確認しよう!
■毎月家計に入れられる金額と家計の支出金額
家計管理の基本は、毎月の収支を把握することです。できればお互いの手取り月収をオープンにできると理想的ですが、「家計に入れられる金額」だけを共有する形でも大丈夫。長く穏やかに共同生活を続けるためには、お互いに“見えないグレーゾーン”を残しておくことも大切です。
「家計に入れられる金額」がわかったら、次は家計から出す1ヵ月の支出を洗い出しましょう。家賃・光熱費・通信費などの「固定費」と、食費・日用品・娯楽費などの「変動費」に分けて、ざっくりでよいので1ヵ月あたりの平均金額を算出します。
■現在の貯蓄額
将来に向けて貯蓄計画を立てるためには、まず今の貯蓄額を知っておく必要があります。互いの預貯金はもちろん、株式や投資信託などの運用資産、加入している生命保険など、現時点で「資産」と呼べるものをすべて共有しておきましょう。
■借金の有無と内容
借金は将来設計に大きな影響を与える可能性があるため、早めに共有しておくことをおすすめします。
奨学金の残債、自動車ローン、クレジットカードのリボ払いやキャッシングの残高、カードローンなどについて、「いくら借りていて、いつまでに返す予定なのか」を正直に話し合っておきましょう。
共有することで、一緒に返済計画を立てて完済を目指せるだけでなく、引き落としができず延滞するようなトラブルを防ぐためにも、お互いに確認し合うことができますよ。
3-2.【重要】できれば確認しよう!
■理想の暮らしと将来の価値観
毎月の貯蓄を続けるには、家計を黒字にすることが大切です。そのためには、お互いが「何にお金を使いたいのか」を知っておくとスムーズです。
優先したいことを伝え合うことで、「どんな人生を送りたいのか」という価値観も分かります。教育、趣味、旅行、自己投資など、大切にしたいことはできるだけ尊重したいですよね。
たとえば「どんな家に住みたい?」「子どもはほしい?」「将来の働き方は?」など、理想や夢を話し合いながらふたりで納得できる計画を立てられるといいですね。
■家計の管理方法と先取り貯蓄の仕組み作り
仕事や家事に忙しい毎日の中で、着実に貯蓄を続けるには、「自動化」の仕組みを作るのがおすすめです。たとえば、
•家計用口座に収入の一定割合を入れる
•家賃や光熱費など負担する項目を決める
•家族カードで支払いをまとめる
などのルールを決めると管理が楽になります。
貯蓄も「自動定期積立」などを使えば、残ったお金で生活するだけで自然に貯まるのでおすすめですよ。
■お金を使う時どうするか決めておく
自分のお小遣いの範囲内で買うのであれば不要ですが、家計から大きな金額を使う場合は「〇万円以上の買い物は相談する」などルールを決めておくと安心です。
無事、話し合うことができたら、その後も経済状況を互いに把握し続けられるように記録をつけていきましょう。
もっとも互いの把握が簡単なのは「家計簿アプリ」です。家計用の銀行口座やクレジットカードと連携できるアプリを使えば、収支が自動で記録され、共有も簡単。もちろん、Googleスプレッドシートで管理する方法もありますし、紙のノートでも大丈夫です。収支以外に、決めたルールなども合わせて記録に残しておきましょう。
大切なのは、いつでもふたりで確認でき、振り返りができる状態にしておくこと。家計の「見える化」ができると、協力して貯蓄や夢の実現を目指しやすくなるのです。
人気の家計簿アプリや活用方法はこちらの記事で紹介しています。
・かしこい貯金は家計管理から!人気の家計簿アプリはコレ!
4.パートナーとお金の話をするときのコツは?

確認すべき項目がわかっても、いざ話を切り出すとなると勇気がいるものです。ここでは、穏やかに話し合いを始められるためのコツを紹介します。
コツ①歩み寄る姿勢を忘れない
大前提として、「相手からお金のことを聞き出して、ルールで縛ってやろう」というスタンスは禁物!「ふたりの未来を良くするために相談したい」という気持ちで、相手の価値観を尊重し、歩み寄る姿勢が何よりも大切です。
コツ②まずは自分からオープンにする
いきなり「あなたの収入は?貯金は?」と聞かれると、誰でも身構えるものです。
まずは「私の手取りは〇〇円、貯金はこれくらい。将来のために一度話したいと思って」と自分の情報からオープンにすると、相手も話しやすくなりますよ。
コツ③「何のために話したいのか」を明確に伝える
突然お金の話をされると「何か疑われている?」「無駄遣いを責められる?」と不安にさせることも。まずは「ふたりで旅行資金を貯めたいから」「いつかマイホームが欲しいから」など理由を具体的に伝えると、相手も安心して話に応じてくれます。
コツ④身近な話題から始めてみる
収入や借金の話が切り出しにくい場合は、もっと身近な話題から始めてみるのも一手です。
「よく外食しちゃうけど、自炊を増やしたら節約できるかな?」
「最近、推し活にハマってて結構お金がかかるんだよね。趣味にどれくらい使っていいものかな?」
「最近よく聞くけど、NISAってやってる?」
日常会話の中でこうしたお金の話をさりげなく織り交ぜることで、少しずつお互いのお金に対する価値観などを知ることができ、本格的な話し合いへのハードルを下げられるのではないでしょうか。
コツ⑤ライフプランシミュレーションを作ってプレゼンする
今後のライフイベントの時期と金額を時系列に記した「ライフプランシミュレーション」を作り、「これからのために書いてみたんだけど、お金のことが少し心配になっちゃった。一緒に考えてみない?」と持ちかけるのも効果的。具体的な数字を見ながら話せるので、お金の相談がスムーズになります。
ライフプランの立て方から、将来必要なお金の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
・将来必要なお金を見える化!ライフプランシミュレーションを作ってみよう!
5.定期的に話す・見直す仕組みをつくろう

お金の話は一度きりで終わりではありません。出産、子どもの進学、マイホーム購入、転職などライフステージが変わると、収入や支出のバランスも変化します。その都度、家計管理や貯蓄計画、保険などを見直すことが大切です。
その際、ライフプランシミュレーションも活用しながら、定期的に話し合えるとよいですね。

定期的にっていうのは、具体的にどのくらいの頻度がいいんだろう?

できれば月に1回、最低でも年に1回は「家族マネー会議」の日を決めて、ふたりでお金のことを話す時間をつくるニャ。
具体的な夫婦の家計管理方法はこちらの記事をチェック!
・「夫婦でお金の話をしてますか?4つのパターンから我が家にぴったりな家計管理方法を見つけよう!」
お金の話をするのは相手を縛るためではなく、お互いの価値観を知り、未来を一緒につくっていくための大事なコミュニケーションです。
「お金の話=不安」ではなく、「お金の話=未来を描く第一歩」です。勇気を出して話し合えば、漠然とした不安も「ふたりなら大丈夫」という安心感に変わります。できることから少しずつ話し合ってみてくださいね。

よーし!今後彼氏とデートするときに話してみるよ。お姉ちゃんもマネ男さんと家族マネー会議してるの

し、してるよ!たまーーーーにね!

ごまかしてるニャ!?

ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級FP技能士・DCプランナー1級・キャリアコンサルタント(国家資格)生活に役立つお金やキャリアの情報を、セミナーや企業研修、執筆にて発信。金融商品などを一切販売しないFPとして活動。専門は教育費・ライフプラン・マネー&キャリア教育・確定拠出年金。運営するみらい女性倶楽部では「今もみらいもワクワクに」を合言葉に、お金・ヒト・スキル・キャリア・笑顔、5つの資産を育てるための情報を発信中。いつでも会いにいけるFPとして、月1回程度全国にてトークイベント付きスナックママとしても活動中。
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