リスクをコントロールして不安を軽減!投資を安心して始めよう
目次)
1.投資にリスクはつきもの、だからこそリスクコントロールを!
2.投資にはどんなリスクがある?
3.いまスグできる!リスクコントロール7つの方法・注意点
4.それでも含み損が増えてしまったら
岸田内閣が「骨太の方針」の中で「貯蓄から投資へ」を掲げていることもあり、投資を始める人がさらに増えているみたいだね。
そうだね。でも、先日友人と投資の話になったとき、損失が出るのが怖くてなかなか始められないって言ってたなぁ。
そっかぁ。僕たちも投資について、マネキンにいろいろ教えてもらったからこそやるようになったけど、最初は「投資にはリスクがつきもの」というイメージから不安があったよね。いまでも「損失が不安で始められない」という人は多そうだね。
なるほどニャ。リスクを完全になくすことはできないけど、投資の仕組みを理解してリスクコントロールすれば、資産全体のリスクを下げることはできるニャ!
そしたら今日は、投資を安心して始めるために押さえておきたいリスクコントロールの考え方を教えるニャン!
お、助かる!その友人にも教えよーっと。
投資にリスクはつきもの、だからこそリスクコントロールを!
「投資にリスクはつきもの」というと、投資は危険だと思われるかもしれません。リスクという言葉には、マイナスのイメージがあります。
しかし、投資の世界のリスクは「リターンの変動幅」という意味。この変動がプラスに振れれば利益(プラスのリターン)、マイナスに振れれば損失(マイナスのリターン)ということ。投資の世界のリスクには、お金が減ることだけでなく、増えることも含まれています。
そもそもリスクをコントロールするってどんなことをするの?
投資をする以上、誰でもお金を増やしたいし、減らしたくないよね。
でも投資商品が値下がりする可能性を完全になくすことはできないし…。
そのとおりニャ。
でも、リスクを知って投資の仕方を工夫すれば、ある投資商品が値下がりしたときに、資産全体の減少を最小限に抑えることはできる、というわけニャ。
これが、いわゆるリスクコントロールだニャン!
投資にはどんな”リスク”がある?
投資商品の価格が値下がりするのには、さまざまな要因があるニャ。
まずは投資のリスクにはどんなものがあるかおさらいするニャン!
価格変動リスク
価格変動リスクとは、投資商品の価格が買ったときより値上がり・値下がりするリスクです。
株・債券・投資信託といった投資商品の価格は、企業の業績、市場の状態、政治・経済・国際情勢など、さまざまな理由で値動きします。
たとえば、企業の決算が市場の期待を下回ったとき、株価は大きく値下がりする可能性があります。
他にも「新型コロナの影響で企業の業績が悪くなる」といった場合にも、株価は値下がりする恐れがあるニャ。
コロナショックでの株価暴落はニュースでも話題になったね。
流動性リスク
流動性リスクとは、市場での売買の量が少なくなることで、売りたいときに売れなかったり、不利な価格で売らざるを得なくなったりするリスクです。市場規模や取引量の小さい銘柄で起こりやすいリスクです。「企業が不祥事を起こした」というときにも、その企業の株に買い手がつかなくなって、大きく値下がりしてしまう可能性があります。
また、不動産は換金するまでに時間が必要ニャ。買い手がつかなければいつまでも売れない可能性があるニャン。
為替変動リスク
為替変動リスクとは、日本円と外国の通貨の為替レートの変動により、資産の価値が変動するリスクです。為替変動リスクは、外国の株式・債券・投資信託といった外貨建ての投資商品にあります。たとえば、米国の投資商品はドルで買います。米国の投資商品を買って値上がりしたとしても、仮に為替レートが「円高ドル安」に進むと、日本円に戻したときに損失が出る可能性があります。
円安や為替相場の基本や影響ついてはコチラの記事で触れてるニャ。
・なぜ円安が起こっている?円安・円高の基本から家庭への影響、その対策まで解説!
信用リスク
信用リスクとは、債券や株式などを発行する国や企業などの財務状態が悪くなり、投資したお金が返ってこなくなるリスクです。仮に国や企業などが破たん・倒産するようなことがあれば、投資したお金が戻ってこなくなってしまう恐れがあります。デフォルト(債務不履行)リスクとも呼ばれます。
破たん・倒産する事態が予想される場合にも、発行体の債券や株価の価格は下落するニャ。
地政学リスク
地政学リスクとは、ある特定の国や地域の政治的・軍事的な緊張によって生じるリスクです。2022年のロシアのウクライナ侵攻などはその代表的なもので、株価下落はもちろん、原油や小麦といった商品の価格の上昇などの影響を与えています。こうした有事の際には金(Gold)の価格が上がりますが、非常事態が解決すると再び値下がりします。
・食品の値上げラッシュ!原因は?いつまで続く?家計を抑える対策を教えて!
・金投資は“有事に強い”? メリット・デメリット、おすすめの金投資を徹底解説
このように、どんな投資商品にも、下落の要因となるリスクはあるニャ。
だからこそ、資産全体のリスクを最小限に抑えるリスクコントロールが大切になるんだニャン!
いまスグできる!リスクコントロール7つの方法と注意点
改めてみると、投資にはいろんなリスクがあるね。これらに対して、どんなコントロールの方法があるの?
値下がりの影響を最小限にするリスクコントロールの方法を7つとその注意点を紹介するニャ!
投資は余力資金で
生活費など、使う予定のあるお金で投資をすると、日々の値動きが気になってしまい、落ち着いて投資ができなくなってしまいます。また、損をした場合に生活費がなくなってしまっては、立ち直れなくなってしまいます。
投資は、家計に無理のない金額で行うことが大切です。最低でも生活費の3ヶ月分、本格的にスタートするなら生活費の6ヶ月分を確保してから、余裕資金で行うようにしましょう。
長期・積立・分散投資を行う
値下がりの影響を押さえてお金を増やす「投資の王道」とも呼ばれる手法が、長期・積立・分散投資です。
「長期」は、長い時間をかけて投資を行うこと。短期間で急激な上昇や下落があったとしても、数十年という長い期間でみれば、それらは一時的なこと。長い時間をかけて投資をすることで、安定した運用が期待できます。また、利益を再投資することで得られる複利の効果も大きくなります。
「積立」は、毎月一定額ずつ投資すること。毎月決まった金額で投資することで、価格が高いときには少なく、安い時には多く買うことができます。それによって、平均購入単価が下がります。平均購入単価が下がると、値上がりしたときに利益を出しやすくなります。
「分散」は、値動きの異なる複数の資産に投資すること。投資先の資産を複数に分けておくことで、どれかが値下がりしても他のどれかの値上がりでカバーする期待ができます。たとえば、株式と債券は基本的に反対の値動きをするため、株式だけでなく債券も組み入れるようにすると、値動きが安定する、というわけです。
長期・積立・分散投資は投資信託が便利ニャ!
投資信託は、投資家から集めたお金を運用のプロが管理・運用してくれる商品ニャ。
100円からコツコツ長期・積立購入できるし、1本で数十から数百の投資先に投資しているので分散投資も手軽ニャン。
ニュースに釣られて安易に資産を変更しない
「今これが上がっている!」などとニュースで言われたら、今ある資産を売ってその上がっている商品を買いたいと思うかもしれません。しかし、安易な売買をして資産の組み合わせ(ポートフォリオ)を変更してしまうと、投資を始めたときよりもリスクが大きくなってしまうかもしれません。短期的な値上がりは確かに派手ですが、短期的に値下がりすることも多いものです。リスクコントロールする上では、あくまで長期・積立・分散投資でじっくりと投資を続けていくことが、堅実な資産形成につながります。
よくわからないものには投資しない
投資商品の中には、複雑な仕組みのものもあります。
たとえば「通貨選択型ファンド」は、株式や債券などの投資対象だけでなく、円以外の通貨を選択できる商品です。そうすることで、投資した資産の値上がり益や配当金・利子に加えて、選択した通貨の為替差益や為替取引によるプレミアムも受け取れます。
運用益に加えて、為替差益やプレミアムまで受け取れると聞くと、儲かりそうだし魅力的に感じちゃうなぁ…。
きっとそう感じる人も少なくないニャ。でも、そもそもどうなれば値上がり(値下がり)するのかわかりにくいニャン?
こうした複雑な仕組みの商品はリスクも高く、購入時手数料や信託報酬も高いものがほとんどニャ。そのうえ、運用実績も振るわないものが多いから要注意ニャ。
こうした商品に投資してしまうと、「いつの間にか資産が大きく減ってしまった」という事態になりかねません。シンプルでわかりやすく、自分で納得できる投資商品を購入したほうが良いでしょう。
投資信託は必ず「目論見書」に目を通し理解をしてから買う
目論見書は、いわば「投資信託の説明書」。その投資信託が何に投資をするのか、どんな運用成果を目指すのか、どんなリスクがあるのか、これまでの運用実績はどうか、手数料はいくらかといったことが書かれています。
目論見書は、投資信託を購入するときに目を通すように言われるから、必ず目を通して理解した上で購入するようにしてほしいニャ!
債券は格付けの高い国を選ぶ
格付けは、債券の発行者(発行体)が倒産しないかを見極めるための指標です。格付け会社によって国や企業ごとに「AAA」「AA」などと表されています。一般的に、格付けが高いほど倒産リスクが低くなり、金利は低くなります。金利が高いからといって、格付けの低い債券ばかり買うと、リスクも高くなってしまうというわけです。
信用リスク・地政学リスクを抑えるには、格付けの高い国や企業を選ぶのが良いニャ!
「オススメ」に要注意!
金融機関のオススメ、SNSのオススメ、インフルエンサーのオススメという具合に、オススメの投資商品を目にすることもあるでしょう。
しかし、そもそもなぜオススメするのでしょうか。金融機関のオススメはもしかすると、「金融機関が儲かるからオススメ」かもしれません。SNSやインフルエンサーのオススメも、もしかしたら広告なのかもしれません。もちろん、オススメの投資商品がすべてダメとは限りません。それでも、オススメの投資商品に安易に飛びつくのはNG。投資商品の内容をきちんと吟味しましょう。
投資にまだ慣れていないと、どの投資商品を選べばいいかがわからなくて、ネット記事でオススメの投資商品を調べたりしていたけど、確かになぜオススメなのかまで理解できてなかったなーー、反省!
それでも含み損が増えてしまったら?
でも、リスクコントロールをどんなにしていても、やっぱり損失が出るときはあるよね。そんなときはどうしたらいいのかな?
リスクコントロールの考え方を生かして、長期・積立・分散投資をしていても、値下がりのリスクはゼロにはできません。また、投資を始めた時期や、投資の方法によっては、市場の下落局面で損失(含み損)を抱えてしまうケースも考えられます。
長期投資の場合、含み損を抱えてしまったからといって、焦って売却するのは禁物ニャ!
確かに、市場はときどき暴落します。しかし、暴落して市場が消滅し、再起不能になったことはありません。それどころか、数ヶ月から数年後には暴落前の水準を回復し、その後は暴落を乗り越えて値上がりするケースが多いのです。
なるほど!それなのに、もしも焦って売ってしまったら、その後の回復の恩恵が受けられず、損失だけが確定しちゃうってことだね。
そもそも、投資をはじめたきっかけは、老後資金など、将来必要となるお金を用意するためのはずです。値下がりしたからといって売却しても、そのお金を使うあてもないはずです。投資のきっかけを思い出して、安易に売らないようにしましょう。
また、積立投資は値下がりがチャンスになることも思い出してください。
積立投資では値下がりしたときに商品を多く買うことができます。そうすることで、平均購入単価が下がり、値上がりしたときに利益を出しやすくなるのです。
どうしても値動きが気になるなら、一旦値動きの情報から距離を置くのもいいでしょう。長期・積立・分散投資は、一度設定すればあとは淡々と、自動的に続きます。
いつかまた上昇すると信じて、長期・積立・分散投資を続けることをオススメします。
以上のように、投資のリスクは完全にはなくせないけど、リスクを最小限に抑えることはできるニャ。今回紹介したことを生かして、投資のリスクをコントロールし、安心して資産形成を進めていくニャン!
ありがとうマネキン!改めて投資のリスクについて学べたし、「リスクが不安」と言っていた友人にもアドバイスできるよ。
マネ娘が投資のアドバイスかぁ〜。成長したね。(しみじみ)
マネ男だって同じレベルだったじゃん、なに目線よ!
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(株)Money&You 代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。
女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。
『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめてのFIRE』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。