【ライフステージ別】人生の節目の保険の選び方と見直し方
日本人は保険が好きな国民として知られていますが、生命保険文化センターが実施した調査によると、日本国民の約8割が生命保険に加入しているとのこと。
確かに保険に加入することで将来起こりうるアクシデントに備えることができ、安心を得られます。ただし、安心のためにあれもこれもとたくさん保険に加入すると保険料がかさんでしまいます。
だからこそ、保障内容や保険料とのバランスを考え無理のない範囲で加入することが大切なんだニャ。また、一度保険に加入したら放ったらかしというのはNGだニャン!
保険は、ライフステージに応じて優先するべき保障内容や保障金額が違うから見直しをすることが大切ってことだね。
私のライフステージだと、どんな保険が必要なんだろう?
どんな保険に加入するのがいいのか、ライフステージごとに教えるニャ!
・安心のためにあれもこれもとたくさん保険に加入するのはNG。
・保険選びで大切なのは、保障内容や保険料とのバランスを考え無理のない範囲で加入すること。
・ライフステージに応じて優先するべき保障内容や保障金額が違うため、見直しをすることも大切。
目次)
1.ライフステージ別に発生するお金を見てみよう
2.ライフステージ別・保険の選び方と見直し方
2-1.新社会人になったとき(18歳〜20歳代前半)
2-2.結婚したとき(20代後半〜30代)
2-3.子どもを持ったとき(30代〜40代)
2-4.子どもが独立したとき(50代〜60代)
2-5.定年後(60代〜)
2-6.保険料が家計の負担になったときは?
3.保険の加入・見直しのポイントは?
3-1.加入・見直しのポイント
3-2.保険の加入・見直しは信頼できるプロに相談
1.ライフステージ別に発生するお金を見てみよう
人生にはさまざまなライフステージがあります。ライフステージとは、人生の節目となる出来事によって区分される生活環境の段階をいいます。ライフステージにより、人生に起こる主なライフイベントには違いがあります。
●20代〜30代の主なライフイベント
・就職
・結婚
・出産
・住宅取得
など
出産にかかる費用については、こちらの記事で解説しています。
・出産後に確認!産休から保育園までの諸手続きや夫婦の育児分担までチェックリストで確認!
産後ケアの費用については、こちらの記事で解説しています。
・快適に出産したい!こだわりのバースプランや産後ケアホテル、いくら用意すれば実現できる?
●40代〜50代の主なライフイベント
・子どもの進学
・住宅のリフォーム
・子どもの独立
など
子どもの教育費の貯め方については、こちらの記事で解説しています。
・子ども一人約2,500万円!?教育資金の賢い貯め方・作り方
子どもの教育費に対して使える制度などについては、こちらの記事で解説しています。
・高騰する子どもの学費!お金の備え方から、学費の無償化など使える制度・手段を紹介!
●60代以降の主なライフイベント
・退職
・介護
・相続
など
定年後の仕事の探し方については、こちらの記事で解説しています。
・定年後、働く?完全引退? 働き方や知っておきたい制度、ローンの組み方など生活に役立つ情報をご紹介!
親の介護費用や葬儀費用については、こちらの記事で解説しています。
・親の介護はある日突然に!介護の種類と費用を知っておこう
・「親が安心して暮らせる老人ホームを探したい!」必要な費用と捻出法、希望に適った施設選びのポイント
・葬儀形式によっては20万円以下で!? 葬儀・お墓の種類と費用、墓じまいの方法まで解説!
相続でおさえたいポイントについては、こちらの記事で解説しています。
・いざというときに慌てない!相続を受けるために必要な手続き
・生前贈与と遺産相続、どちらがいい??不動産の相続の節税のコツ
・2024年4月施行「相続登記の義務化」って?義務化の理由は?申請しないとどうなる?
次の図表は、主なライフイベントにかかるお金をまとめたものです。参考にしてください。
このように、ライフステージによりメインとなるライフイベントは異なり、また、家族や家計の状況も変わります。生命保険という観点からすると、どんな保障があればいいのか、どれくらいの保障があればいいのかはライフステージごとに違いがあります。
生命保険もライフステージに合わせて、保険の見直しをしたり、保障が足りないのであれば追加の加入を検討することがとても大切なんだニャ。
では、ライフステージ別の保険の選び方と見直し方を見ていきましょう。
2.ライフステージ別・保険の選び方と見直し方
現代では働き方も生き方も多様化が進んでいますが、今回は、会社に勤めて、結婚し、その後子どもを授かり、育て上げ、会社を定年退職する、といったライフステージが大きく変化することになる一般的なパターンで見ていきます。
●新社会人になったとき(18歳〜20歳代前半)
<保険の選び方・見直しの際のポイント>
社会人になって経済的に独立をするときですから初めて自分の生命保険について考えるときでしょう。
この時期は独身の方がほとんどだと思いますが、独身の場合、主に心配すべきは自分が働けなくなった場合の生活保障です。もし、病気やケガで働けなくなり収入が減少しても、その間の生活費や医療費は待ったなしでかかります。
会社員の場合は、健康保険が充実していますが、年齢が若い時期ですから十分な貯蓄がないケースが多いでしょう。
その場合には、「医療保険」を検討するといいでしょう。もしもの入院や手術に備えて、掛け捨て型の保険で最低限の保障があると安心です。現在は、入院せずに通院しながら治療するケースも多いので、通院保障もついているタイプの医療保険に入っておくと使い勝手がいいでしょう。
また、会社員の場合には、病気などで会社を休んでも健康保険からお給料の約3分の2が通算1年6カ月にわたってもらえる「傷病手当金」の制度がありますが、それでも不安という場合は、就業不能保険への加入も検討してもいいでしょう。
なお、独身の方で養う家族がいない場合、死亡保険は必要ありません。
・医療保険/月2,000円
・就業不能保険/月2,000円
毎月給料から差し引かれている「社会保険」のカバー範囲と保険料に関しては、こちらの記事をご覧ください。
・社会保険って何ができるの?意外と知られていない種類やカバー範囲、保険料を解説!
●結婚したとき(20代後半〜30代)
<保険の選び方・見直しの際のポイント>
結婚して子どもをもたずに、共働きする場合には、パートナーが死亡しても、お互いに自分の収入で生活していける場合は、死亡保障は必要ありません。
考えなくてはならないのは、配偶者のどちらかが働けなくなった場合のリスクです。
夫婦ともに会社員で健康保険に加入していて、貯蓄があるのであれば、特に保険への加入は考えなくてもいいですが、貯蓄が少ない、もしくは、生活レベルを落としたくないということであれば、配偶者のどちらかが働けなくなった場合の保障を中心に加入する保険を検討するといいでしょう。
特に検討したいのが病気・ケガによる収入減少に備える「就業不能保険」です。病気やケガで長い間働けなくなったときの生活費をカバーするために加入します。医療保険の場合、入院中の入院給付金は支払われますが、自宅療養は給付の対象外になります。就業不能保険は、自宅療養中の保障もカバーできます。
また、医療保険への加入はあまり必要ありませんが、がん保険への加入は検討したいところです。がんの治療も健康保険が適用される治療を受ける限りは、それほど、高額になることはありませんが、先進医療や自由診療を受ける場合には、健康保険を利用することはできず、全額自己負担。加えて、がんの治療は長期化することも多いので、その分の負担が大きくなるからです。
結婚して妻が専業主婦になるなど、片働きの場合には、夫が亡くなったときに備えて死亡保障を検討してもいいでしょう。その際には、安い保険料で死亡保障が得られる定期保険への加入を検討するといいでしょう。
夫:就業不能保険/月3,500円
定期保険/月1,000円
がん保険/月2,000円
妻:就業不能保険/月3,000円
がん保険/月2,000円
●子どもを持ったとき(30代〜40代)
<保険の選び方・見直しの際のポイント>
この時期も引き続き、病気・ケガに対する保障の確保も大切ですが、ファミリー世帯であれば、住宅ローンの返済に加えて教育費の負担が家計に重くのしかかってくる時期です。子どもがいるので、優先して保障を確保したいのは「まとまった死亡保障」です。
というのも、万が一、親が亡くなった場合に備えて子どもが社会人になるまでの生活費や教育費を確保する必要があるからニャ。
夫の収入で家計を支えている場合には、夫への保障が手厚くなるように保険の加入を考える必要がありますが、子どもがいる場合には、妻が死亡したら夫が今まで通りに働けなくなったり、家事代行サービスを頼んだりする可能性などもあるため、妻にも死亡保障があった方がいいでしょう。
必要な保障額は子どもの年齢や教育プランにより違いがあります。とはいえ、数千万円もの大型の死亡保障に加入するとなると、高額な保険料がかかってしまいます。
そこでオススメなのが、例えば、子どもが成人するまでなど、一定期間のみ、大型の保険が買える「定期保険」で備える方法です。掛け捨てなので、解約返戻金などはありませんが、その分、安い保険料で大きな保障が手に入ります。
もう一つ候補になるのが「収入保障保険」。
収入保障保険は、定期保険と同じように一定期間の死亡に対する保障です。定期保険と大きく異なるのは、保険金の支払いが、毎月、あるいは毎年、分割して支払われる形であることです。
毎月分割タイプの場合には、毎月15万円や20万円といった決まった金額をお給料のように受け取ることができるので、それまでお給料を使ってきたのと同じ感覚で生活を維持することができます。この保険の特徴は、加入時の保障がいちばん高く、年数を経るにしたがって徐々に保障が下がっていくところにあります。
つまり、徐々にもらえる保険金額が減らせるので保険料が安いということニャ。
なお、住宅ローンを組んでいて「団体信用生命保険」に加入している場合には、死亡保障を減らすことができます。団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ人が死亡または所定の高度障害状態になったときに、その保険金で住宅ローンを返済するための生命保険です。住宅ローンを組むときに、ほとんどの金融機関で団体信用生命保険の加入が義務付けられています。
つまり、団体信用生命保険に加入していると、ローンの契約者に万が一のことがあってもローンの残高と同じ金額の保険金額が借り入れ先の金融機関に支払われます。残された遺族はその後の住宅ローンの支払いがなくなるのでその分、保障の金額も減らせます。
夫:定期保険/月3,000円
収入保障保険/月3,000円
がん保険/月2,000円
妻:定期保険/月1,000円
収入保障保険/月2,000円
がん保険/月2,000円
●子どもが独立したとき(50代〜60代)
<保険の選び方・見直しの際のポイント>
この時期は、子どもが社会人となり独立する家庭も増えてくるでしょう。子どもの教育費や生活費に備える必要がなくなるので、大型の死亡保障は必要ありません。
子どもが独立した後はお葬式代程度あればいいでしょう。例えば、終身保険に一定期間大型の保障が付いている定期保険特約付終身保険に加入しているなら主契約の終身保険部分のみで大丈夫です。
ただし、子どもが大学生などの学生の場合には、少し死亡保障を減らしつつも死亡保障は確保しましょう。
また、老後資金に向けてコツコツと老後資金を準備していく必要があります。一般的に50歳代は生涯を通じて、年収の高い時期です。子どもが独立して家計に余裕がある時期なので、高額な保険に入らずとも、iDeCoやNISAなどを活用して老後資金作りに力を入れていくといいでしょう。
iDeCoについては、こちらの記事で解説しています。
・どれくらい税金が減る?老後資金作りにiDeCo(イデコ)がおすすめな理由を解説!
NISAについては、こちらの記事で解説しています。
・20、30代の利用者が急増中!税金がかからなくなる制度「NISA」って何?
・NISAで投資をすると利益は出るの?初心者でもできる?経験者に聞いてみた
健康面では、病気・ケガで入院や手術をするリスクが高まる年代といえます。特にがんにかかるリスクが高まってきます。がんになったときに先進医療や自由診療を受ける場合には、健康保険を利用することはできず、全額自己負担になりますので、がんにかかった場合、お金に糸目をつけずに治療の選択をしたいなら、先進医療や自由診療を保障するがん保険を選んでおくといいでしょう。
老後にかかる費用を抑えることにつながる「健康への投資」については、こちらの記事をご覧ください。
・医療費・介護費…やらないと1,400万円損をする!?「健康への投資」した場合しない場合のお金を比較!
夫:がん保険/月5,000円
定期保険/月4,000円
妻:がん保険/月5,000円
●定年後(60代〜)
この時期は、自分たちの老後生活を見据えた保険に切り替えることが大切です。
夫婦で一般的な年金の金額がもらえる場合には、基本的な生活費は年金で賄えるので、貯蓄があれば、基本的に死亡保障は不要です。
病気や介護へのリスクが高まってくる時期なので、医療保険やがん保険、介護保険への加入や見直しを重点的に行いましょう。
ただし、心配なあまりに必要以上に保障を手厚くするのはNGニャ!
特に医療費については、病院や薬局などにかかっても基本的に自己負担は3割で済みます(年齢や所得によっては2割・1割負担)。医療費にはそのほかに、1ヶ月(毎月1日から末日まで)の医療費の自己負担額の割合が決められています。
これを超えたときに申請すれば、超えた分を払い戻してもらえる「高額療養費制度」もあります。高額療養費制度の医療費の自己負担額の上限は、年齢や所得の水準によって異なります。多くの方の場合、定年後になり、所得も下がるため高額療養費の限度額も下がり、自己負担も少なくなります。
介護は高齢になるほどリスクが高まり、保険会社としても保険金を支払うケースが増えるため、保険料は高めに設定されています。ただし、公的介護保険があるので、すべてを保険でカバーする必要はありません。年金や貯蓄で賄えない金額を介護保険に加入してカバーするようにしましょう。
夫:介護保険/月6,000円
妻:介護保険/月6,000円
●保険料が家計の負担になったときは?
これまでライフステージ別に保険の加入・見直しのポイントを見てきましたが、ライフステージの変化以外にも、転職などで収入や支出に変化があったときや子どもの教育費が重なり家計に占める保険料の負担が重くなったときには、保険の見直しをするタイミングといえます。
「現在加入している保険の保障内はすべて必要なのか」「今優先しないといけない保障はなにか」を考え、家計に無理のない範囲で保険に加入することが大切です。
一般的に家計を圧迫しない保険料の目安は、手取り月収の5%〜7%程度。この金額を保険料の一つの目安にするといいでしょう。
こう見ると、20代では自分のために医療保険に加入し、ライフステージの変化に伴って保険を追加、そしてシニア世代に向けて減らしていく、といった流れがあるね!
その時々の保険の加入・見直しで、どんなポイントを見て判断すればいいんだろう?
次に、保険の見直しはどんなポイントが重要かを確認するニャ!
3.保険の加入・見直しのポイントは?
加入・見直しのポイント
保険の“加入”をするときは以下のポイントを確認してほしいニャ!
・必要な保障がついているか
・保険料は無理のない金額になっているか(複数の保険会社で比較するとよい)
・保障期間は適切か、保険は更新タイプか(更新によって保障額や保険料が変わるか)
・掛け捨て型か、貯蓄型(解約返戻金があるタイプ)か
保険の“見直し”をするときは以下のポイントを確認してほしいニャ!
・既契約を活かして見直すと保険料が抑えられる場合がある
・保険を切り替えているタイミングで、無保険期間を作らない
・保障内容と保険料は希望通りになっているか
・社会保険でカバーできる部分はないか(余分な保険はないか)
保険の加入・見直しは信頼できるプロに相談しよう
保険加入・見直しには、上記のような多くのポイントがありますが、実際には、人生のライフプランをしっかりとシミュレーションしてみないことには、正しい保障額を把握することは難しいでしょう。
自分自身で適切な保障額を把握し、適切な商品を選ぶのは難しいという方も少なくないでしょう。そんなときはプロに相談してはいかがでしょうか。
独立系のファイナンシャルプランナーであれば、ライフプランシミュレーションの作成はもちろんのこと、中立な立場で適切な商品をアドバイスしてくれることでしょう。また、複数の保険商品を扱っている保険ショップでは、複数の商品を比較しながら適切な商品を選んでもらえます。
ライフプランシミュレーションは自分でも作成できます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
・将来必要なお金を見える化!ライフプランシミュレーションを作ってみよう!
保険は一度入ったら放ったらかしはNGニャ!ライフステージが変化したり、家計の状況が変化したりした場合には、保険を見直すようにしてニャン。
社会人になってから今までほったらかしにしてた…。マネ娘とも結婚して夫婦になったし、ちゃんとこの生活にあった保険になっているか見直ししなきゃね。
手っ取り早くプロに相談しちゃおうよ!
マネ娘は面倒くさがり屋さんなんだニャ…。
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(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。