葬儀形式によっては20万円以下で!? 葬儀・お墓の種類と費用、墓じまいの方法まで解説!
目次)
1.臨終後にすぐ決めることは「葬儀社」「安置場所」
2.1人の葬儀全体にかかる平均費用
3.数十万〜数百万まで葬儀の種類はさまざま!
4.さまざまなお墓のカタチ、石のお墓から樹木葬タイプまで
5.墓じまいの方法と、それにかかる費用
最近私の友達のご両親が亡くなったっていう話を聞くようになったわぁ。
僕たちもそういう年齢になってきたってことだね。
私たちの両親ともいつかはお別れがくるけど、いざという時に何も知らなかったらパニックになっちゃいそう…。
お別れだけでもつらいのに、葬儀やお墓のことを考える余裕はないかもしれないな。
とはいっても、葬儀のことは亡くなってからすぐに決めないといけないことも多いから、予め知っておいて、葬儀をどうするか事前に家族で決めておくと心の余裕にもなるニャン。
そうね。あと、友達は家族のお墓が遠い地方にあってなかなかお墓参りにいけないことに困っていたわ。墓じまいをするかも検討していたけど、それにも色々お金がかかるとかなんとか…その辺りも含めて、マネキン、今日は葬儀とお墓について教えて!
任せるニャ!今、多様なニーズに合わせて葬儀も色々な種類があるから一つ一つ説明するニャ。あと、お墓についてはマネ娘ママたちだけじゃなく、マネ娘夫婦とか次の世代にもかかわってくることだから、家族で知っておくと良いニャン!
臨終後にすぐ決めることは「葬儀社」「安置場所」
臨終を迎えたら、遺族が最初にしなければいけないことは、「①故人の安置場所を決めること」「②医師から死亡診断書を受け取ること」です。
① 故人の安置場所を決める
安置の場所については、自宅、葬儀会館のほか、安置の対応をしている寺院もあります。事前に葬儀社を決めていない場合は、病院で葬儀社を紹介してもらえることもありますが、十分に比較検討する意味でも、事前に葬儀社を決めておくことをおすすめします。
安置に必要な枕飾り等のセットは葬儀社が準備してくれます。
② 医師から死亡診断書を受け取る
死亡診断書を受け取ったら、用紙の左側の「死亡届」に記入します。記入したら、故人の死亡地、故人の本籍地、届出人の住所地いずれかの市区町村役場に提出します。
死亡届は親族、同居者、家主、地主、後見人などの届出人が記載、押印しなければいませんが、実際に役場に提出するのは、代理の人でも問題ありません。
そのため、葬儀社の人が届出人の使者として提出してくれることもあります。
悲しいお別れの直後なのにこんなにやらないといけないことがあるのね。
故人との最後のひと時をどう過ごすのか
コロナ禍では、セレモニーが小型化したかわりに、火葬までの時間を故人とどのように過ごすかという視点が大切になっています。
病院や介護施設では、対面での面会を制限しているところがほとんどなので、基本的にスタッフ以外との接触はありません。看取りの段階になって、場合によっては亡くなってからやっと対面できたというケースも多々あります。
「十分なお別れができなかったので、丁寧に見送りたい」という遺族の要望は多そうだね。
その通りニャ。だから、火葬のみの直葬であっても、自宅や安置室でゆったりと過ごす、というお別れの方法を提案する葬儀社もあるニャ。
通称「遺体ホテル」と呼ばれるような安置専用の施設になると、24時間面会ができたり、仮眠や軽食をとったりできます。
葬儀だけで平均200万円弱!1人の葬儀全体にかかる平均費用は?
次に葬儀の費用についてみていくニャ!
葬儀の3大費用としてあげられるのは以下です。
② 飲食接待費用(通夜ぶるまい、精進落とし、会葬返礼品など)
③ 宗教者への費用(お布施など)
数年ごとに、日本消費者協会で葬儀に関するアンケート調査が行われますが、2017年の調査結果(※)によると合計金額は195.7万円となっていて、内訳は、
② 飲食接待費用が約30.6万円
③ 宗教者への費用が約47.3万円
という調査結果が出ています。
このうち「お布施」以外が通常葬儀社の見積書に記載される項目ニャ!
※日本消費者協会「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書)(調査:2017年)より。
数十万〜数百万まで葬儀の種類はさまざま!
最近、家族や友人・知人などのみに限定する小規模型の葬儀について「家族葬」という言葉が使われるようになったわね?
セレモニーは行わず、火葬のみの「直葬(ちょくそう)」といわれるスタイルも都市部を中心に広がってるニャ。
また通夜、葬儀・告別式と2日行わず、セレモニーは葬儀・告別式の1日のみしか行わない「一日葬」はコロナ禍で注目を集めたニャ。
それぞれの特徴をまとめると次のようになります。
〇一般葬
通夜、葬儀・告別式の日時と場所をオープンにし、広く一般の方に参列してもらえるようなスタイルの葬儀のこと。概ね30名以上で90万円くらいからが相場です。人数や会場の大きさ、祭壇のランク等によって変動します。
〇家族葬
家族や親戚を中心に、親しい友人・知人のみが集まる葬儀。概ね30人くらいで、60万円から140万円くらいがボリュームゾーン。式の流れは一般葬とかわらず、宗教儀礼も行われます。
〇一日葬
セレモニーは「葬儀・告別式」のみとし、火葬を含めて1日で済ませるスタイル。参列者の人数は問わないため大人数のこともあります。葬儀費用の平均は約85万となっています。
〇直葬(火葬式)
セレモニーを行わず、安置後(没後24時間以上)に火葬場に向かい荼毘(たび)に付します。
地域の火葬場の料金によって異なり、総額で20万円~35万円程度。
コロナ禍で葬儀の小型化は進んだものの、一方で、「しっかりお別れをしたい」「お別れの場を持ちたい」という意見は増えているようです。
格安プランは追加費用に要注意!
「格安&全国展開」をうたう葬儀仲介会社も増えているような気がするけど、大丈夫なのかい?
こうした葬儀仲介会社は、パッケージ化された料金プランをHP等に掲げて集客し、葬儀の施行は地域の提携葬儀社に委託するというシステムをとっています。
料金プランの明確さや安さが指示されていますが、HPで記載されている料金と、実際の見積額が大幅に異なるというトラブルも発生しています。
「葬儀一式〇〇円~」といった表記になっていますが、基本プランに含まれていないものはオプションとして加算されます。また、火葬に関する費用だけでも地域によって無料のところもあれば10万円近くかかるところもありますし、使用する式場の費用もさまざまですから全国一律で金額を出せるものではありません。
選択肢のひとつとして考えるのは良いけど、地元の事情に精通している葬儀社を含め、複数の葬儀社と比較検討することをおすすめするニャ。
葬儀の費用がない場合は火葬のみという手も
金銭的に余裕がない場合は、火葬のみにするなどできるだけ負担のない形で行う方法があるニャ。
以下のような支給もあるから参考にしてみてニャン。
●国民健康保険、後期高齢者医療保険、健康保険、労災保険からの支給
国民健康保険と後期高齢者医療保険からは、被保険者が亡くなったとき、その故人の葬祭を行った人は、「葬祭料」として3万円~7万円が支給されます(自治体によって異なる)。
ただし、自治体によっては火葬のみの場合は支給の対象外となる場合もあるので要注意。
協会けんぽなど健康保険からは、被保険者(会社員の場合)が業務外の事由により亡くなった場合、本人によって生計を扶養されていた遺族に「埋葬料」が5万円支給されます。
また、被扶養者である家族が亡くなったときには、被保険者に「家族埋葬料」として5万円支給されます。
※ここで言う「埋葬」は法律上の埋葬を示すのではなく、火葬費用、搬送費用、僧侶へのお布施などを示します。
業務災害や通勤災害によって労働者が亡くなった場合は、労災保険から「葬祭料」として一定額が支給されます。
葬祭料は、遺族に代わり友人や会社が葬儀を行った場合でも支給を受けることができるニャ。
給付額は、葬儀や法要にかかった費用に関係なく、亡くなられた方の給付基礎日額(1日当たりの賃金額)をベースに計算することになってるニャン。
●困窮者が亡くなった場合の支給
生活保護を受給している人など、経済的に困窮している人が亡くなったときは、葬祭扶助費として20万円前後(自治体によって異なる)が支給されます。
通夜、葬儀・告別式といったセレモニーはできません。棺やドライアイスなど、故人に関係する最低限の備品の用意はできますが、祭壇、遺影写真、装飾花等も含まれません。火葬のみで行ういわゆる「直葬(ちょくそう)」スタイルとなります。
葬祭扶助の基準や支給額の詳細は、厚生労働省の「生活保護実施要領等」 p.58をご確認ください。
さまざまなお墓のカタチ、石のお墓から樹木葬タイプまで
葬儀が終わったらお墓に納骨するけど、そのお墓も最近はいろんなタイプが登場しているニャ。
お墓といえば、四角い石材が積み重なっている縦長の和型タイプを思い浮かべる人が多いと思いますが、下の写真のような都市部を中心に横長台形の洋型タイプが増えています。
洋型はデザインなど自由度が高いのに加え、背丈が低く開放的なこと、また使用する石材量が若干少なくて済むこともあって、現在新規で建てられるお墓の約半数近くになるなど人気です。ピンク、赤、青、緑、黒といった色の石種も人気で、墓石に刻む文字も、家名に限らず、「愛」「和」「ありがとう」といった文字を入れる人も増えています。
石のお墓を購入する際は、「墓地使用料(永代使用料)」と、石碑・外柵などの「墓石代」と「工事費」がかかります。この他に、毎年支払うものとして維持・管理費に必要な「年間管理料」があります。
購入費用の総額は、墓石を含めて1区画につき100万円~300万円程度。
都市部は区画が小さいため墓石の量も少なくなりますが、地方だと区画が広くなり墓石の量も多く必要になります。
普通のお墓以外の方法と費用も教えて!
〇納骨堂
納骨堂とは遺骨を納める屋内施設のこと。
かつて納骨堂といえば、遺骨をお墓に納めるまでの一時預かり施設という意味で利用する人が多かったのですが、現代の納骨堂は、遺骨を祭祀する施設として石のお墓と同様の役割を担っています。
墓石を建てるより安く、草むしりなどのメンテナンスも不要、しかも交通至便な場所に多くあることから、2000年代に入って納骨堂に対する関心が高まり、都市部で急増しています。
納骨堂には、納め方や参拝方法により、「棚式」「ロッカー式」「機械搬送式」「仏壇式」「墓石式」などがあり、近年、特に急増しているのが「機械搬送式納骨堂」です。
カードキーをかざすと、所定のブースの前に遺骨を納めた納骨箱が目の前まであらわれ、その前でお参りをする仕組みです。
購入費用については1区画につき10万円~150万円と、納骨堂によって異なります。
「棚式」など間接参拝方式の納骨堂は安価で、骨壺を目の前にして参拝できる直接参拝方式だと1区画につき40万円から150万円程度。契約したスペース内に入るなら複数人の遺骨を納めることも可能です。
寺院内にあっても、檀家としての契約なしに購入できたり、跡継ぎ不要でも購入可とする「永代管理(永代供養)」のシステムをとっているところが多いのも特徴ニャン。
このシステムは、初期費用はかかるけど、その後の年間維持費や管理費がかからない供養方法ニャ。
〇樹木葬墓地
樹木葬墓地とは墓石の代わりに樹木や草花を植えて遺骨を埋蔵する墓地のこと。
墓石を建てるより安価で、明るく開放的なイメージもあり、女性を中心に人気があります。
遺骨は土に還る納骨タイプと、骨壺を使用して納骨するタイプがあるので要注意。
寺院内にあっても、檀家としての契約なしに購入できたり、跡継ぎ不要でも購入可とする「永代管理(永代供養)」のシステムをとっているところが多いのも特徴です。
購入費用については1柱(1人分)として5万円~80万円と墓地によって開きがあるので要注意。個別納骨型か合葬納骨型かによっても異なります。家族や夫婦単位で使用するなど、複数人分契約すると、かえって割高になってしまうこともあります。
〇海洋散骨
海洋散骨はお墓とは少し形態は異なりますが、遺骨を粉末状にして海にまきます。
「海が好きだった」といった理由で海洋散骨を選ぶ人もいます。海洋散骨についての法律はありませんが、「遺骨は細かく粉骨する」「周囲や自然環境に配慮する(漁場や海水浴場は避ける)(リボンやセロファンなどは花と一緒に流さない)」といったガイドラインを基に行われています。
費用は散骨の方法によって異なり、船をチャーターする「個別散骨」だと約20万円~、複数の家族が同じ船に乗り合わせる「合同散骨」は約10万円~、散骨業者のスタッフが遺族に代わって散骨する「委託散骨」の場合は約5万円~です。
墓じまいの方法と、それにかかる費用
お墓が遠くてお墓参りに行くことが難しくなったり、跡継ぎがいなくて墓守をする人が途絶えてしまうという問題を抱える人の間で、「墓じまい」を検討する人が増えているって聞くよね。
墓石や外柵、付属品類すべてを撤去し、墓地を更地にして処分、返還すること。
墓じまいをする場合、納骨されている遺骨を取り出して、別の場所に移動する「改葬」という作業を伴います。改葬は「改葬許可証」を市町村役場で発行してもらうという行政上の手続きが必要ですが、それよりも現在の遺骨を移動する先を考えることのほうが労力を伴います。
新しく墓を建てて遺骨を移すケースや、合葬墓に納めて今後は寺院などに管理・供養をお任せするケースなどがあります。
墓じまいをするときには、お墓に納められている親戚縁者には墓じまいをする旨をあらかじめ伝えておかないとダメニャ。
先祖供養や故人に対する思い入れが自分たちと同じだとは限らないニャ。
自分たちが知らない時に、お墓参りをしている可能性もあるから、改葬先も伝えるようにするニャ。
また、寺院の境内にある墓地であれば、墓じまいと同時に檀信徒契約(檀家となる契約)に変更が生じます。寺院内にお墓がある場合も、検討する段階から早めに墓じまいについて相談しておくと良いでしょう。
墓じまいで墓石を撤去するときには、石材店に依頼します。作業費用は1㎡あたり8万~15万円程度ですが、地盤や墓地形状によって異なります。
寺院を離れる場合は、離檀料と称されるお布施を渡すことが慣例となっています。お布施の額は「お気持ち」程度でかまいません。法要で渡すお布施の2~3回分が目安となります。
亡き人との縁を次世代へどのように繋いでいくか、という視点でお墓について考えてみると良いでしょう。
「嫁ぎ先の墓に入りたくない」「結婚・離婚などで家族関係が複雑になり、どの墓に入ったら良いのかわからない」「内縁の妻と一緒の墓に入りたい」「宗教が違う場合お墓に入れるか」「ペットと一緒の墓に入りたい」といった悩みが多様化、複雑化してるニャ。
お墓は地域の慣習や宗教によっても異なりますので、お困りごとがあれば地域の石材店に相談すると良いでしょう。また、お墓の相談を気軽にできるサイトも多くあるので、一度調べてみるのもおすすめです。
確かにいろんな事情がある人は多いかもしれないけど、私はパパと同じお墓に入るわよ!
ママ…!ありがとう!!!
仲良しだニャ~。
社会福祉士、終活・葬送ソーシャルワーカー
大手葬祭業者、大手仏壇・墓石販売業者勤務を経て、葬送コンサルタントとして独立。
起業コンサルティングや人材育成、取材・執筆などを行っている。
近年は社会福祉士として専門学校講師のほか、介護職として福祉・介護の現場でも活動。
著書は「葬儀業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」(秀和システム)、「お墓の大問題」」(小学館)などのほか、監修本は50冊以上。
Yahoo!ニュース(公認オーサー)「終活サプリ」、東洋経済オンライン、All About「葬儀・お墓」等で記事連載中。