終活で老後の不安も解消!?お金に関わる終活の進め方
<目次>
・終活とは
財産の棚卸
身の回りの整理
介護や病気になった時の対策
葬儀やお墓などに関する希望を考えること
自分の財産をだれにどう相続するかを考えること
・エンディングノートに書くこと
自分のこと
交友関係
身の回りに関すること
財産に関すること
葬儀・お墓に関すること
医療や介護のこと
・お金に関する終活で必要なこと
財産/資産の整理
だれに、何を相続するのかを検討
老後資金がどのくらい必要かの試算
ある日の昼下がり、マネ娘の両親はリビングで世間話をしていました。
最近、早いうちから「終活」を行う人が増えてるって、知ってた?
そうらしいね。でも、さすがにまだ早い気もするし、「終活」ってそもそも何をしたらいいかわからないなぁ。
確かにそうね。そしたら、マネ娘たちのところのマネキンに聞いたらいいんじゃない?
呼んだかニャ!?
いつの間にっ!マネキンはどこにでもいるんだなぁ…。早速だけど、今回は終活について教えてほしいんだ。
子ども側からはなかなか話題に出せない終活について考えてるなんて、素晴らしいニャ。それじゃあ今回は「身辺整理」、次回は「相続を受ける側の手続き」と、相続について2回にわけて説明していくニャン!
遺された家族に迷惑をかけないための準備「終活」
「終活」とは、家族や周囲の人たちに迷惑をかけずに人生を終わらせるための準備をすること。こう聞くと、「自分の死んだ後のことを考えるのには抵抗がある」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、終活の効果はそれだけではありません。終活を行うことで、老後生活の不安を解消することができるのです。
『終活』とは、
「財産の棚卸」
「身の回りの整理」
「介護や病気になった時の対策」
「葬儀やお墓などに関する希望をまとめること」
「自分の財産をだれにどう相続するかを考えること」
などです。
つまり、終活をすることで、老後資金や病気・介護、相続など、高齢者の方が抱える心配事を事前に考え、準備することができるというわけニャ。
人は「わからないもの」に、強い不安感を感じます。何となく不安だと思っていることについて、「具体的に何がどう不安なのか」「どんなことが起こると困るのか」「それに対してどう対処していけばいいのか」ということがわかれば多くの場合その不安は解消されます。
「終活」とは、これまで生きてきて作り上げてきた自分の財産や家族、そして自分の老後と向き合う作業でもあるニャ。終活を行うことで、自分で意識していなかった思いや家族のこと、財産のことなど色々な気付きも得られるはずニャン!
「大切な家族に迷惑をかけず、自分自身も安心して老後を過ごしたい」と考えている方は今から終活を始めてみてください。
終活の第一歩はエンディングノートの作成
終活を行うにあたって、活用してほしいのがエンディングノートです。
エンディングノートは、家族などに伝えておきたい情報や希望を書き記しておくノートのこと。エンディングノートに書いておくべき主な項目は次の通りです。
最近は、パソコンや携帯電話などの普及で、デジタル遺産やネット系の金融機関など、IDやパスワードがわからないと見つけられない財産も増えてるから、そういった情報も残しておくと良いニャ!
なんだか書くことが多くて大変そうだな…。
マネキン:安心するニャ!今は市販のエンディングノートがたくさん出てるニャ。それぞれ書きやすさや書くべき項目など、工夫をされているものも多いから、自分が書きやすそうだと思うものを選んで利用するとスムーズニャ。
エンディングノートを書き進めていくと、自分自身の現在の財産状況がはっきりとわかり、老後資金が足りるのか、相続になった場合に、家族が円満に財産を分けられるのか、また相続税はかかりそうか、などという確認・解決すべき課題が見えてきます。
また、介護や病気になったときに、どう過ごしたいのか、葬儀に来てほしい人はだれかなどの希望をエンディングノートに記しておくことで、ご自身の希望を家族に伝えることができます。
そういえば、数年前に友人がお母さまを亡くしたのだけど、エンディングノートは残していなかったそう…。
だから、お母さまがどんな財産を持っていたのかを探し出すのも一苦労だったし、携帯電話やパソコンもなかなか開くことができず、お母さまの写真やご友人の連絡先、ネット系の金融機関の有無の把握にも苦労したんだって。
葬儀の時に誰に連絡をすればいいのかも、はっきりとはわからず、本当にお母さまの望んだ葬儀ができたのか…と、悔いが残ることもあったって言ってたわ。
エンディングノートがあれば、そんな思いをしないで済んだかもしれません。多くの皆さんにぜひエンディングノートを残すことをおすすめします。
【エンディングノートの例】
相続手続で困らないエンディングノート
お金に関連することで、具体的にするべきこと
次に、お金に関する終活でどんなことをしなければならないのかご紹介します。
・財産/資産の整理
まずは資産の整理をしましょう。
特にやっていただきたいのは、使っていない銀行口座や証券口座の整理です。お付き合いや転勤・転職などで、複数の銀行口座を作ってそのまま持っているような場合、これを機会に使っていない銀行口座や証券口座を解約してください。
マネキン:口座の持ち主が亡くなると、口座を解約するのも一苦労ニャ。戸籍や印鑑証明など多くの書類や家族の印鑑などを揃えて、銀行や証券会社に提出するのは骨の折れる作業だから、必要なもの以外は今のうちに整理するニャ!
株式や投資信託など証券口座の相続手続きには、同じ会社に相続する人が口座を開かなければならず、とても厄介です。証券口座はできれば2つ以内程度にまとめるのが良いでしょう。
不動産は、購入したときの売買契約書や登記情報など、なるべく1つのところにまとめておきましょう。ゆくゆく相続した後にその不動産を売却する場合などに必要になります。
生命保険もこれを機に見直しをしてみましょう。不要な保険を解約する、また医療保険など必要な保障を見直すことで、老後の安心感が変わってきます。
せっかく今まで払ってきた保険も家族に見つけてもらえなければ、請求漏れをしてしまうこともあるニャ。だから保険証券などもわかるようにまとめておくニャ!
・相続対策
次に考えたいのが相続対策ニャ。
ご自身の財産を整理したら、次にだれにどの財産を相続させるか、その分け方で家族が円満に相続を迎えられるかを考えてみてください。
できればそのことについて家族の皆さんと話し合ってほしいのです。相続で一番つらいのは、財産をめぐって家族が争いを起こしてしまうこと。がんばって築いてきた財産をめぐって大事な家族がもめ事を起こすなんて、避けられるものなら避けたいところです。
家族で財産の分け方を話し合い、分け方が決まったのであれば、遺言書で法的に有効な形にしておくことをおすすめします。
また、現在の資産を書き出すことで今いくらの財産を持っているかがわかるので、相続税がかかるかどうかを確認することもできます。相続税がかかるようなら、これをきっかけに節税対策も可能です。
税金については、思い込みで行うと思わぬ間違いをすることがあるから、相続税がかかりそうだという方は税理士に相談するのが良いニャン。
・老後資金について
相続対策も大事だけど、自分の老後資金の確認も大事ニャ。
老後資金の考え方はいろいろありますが、簡単な方法を1つご紹介します。
例えば、月25万の生活費が必要で、年金が月16万円という方の場合
25万円−16万円=9万円 →これが毎月不足する金額
STEP2.これを仮に90歳までにいくらかかるかを計算する
例えば、今70歳の方だと
(90歳−70歳)×9万円×12か月=2,160万円 →これが90歳までに不足する金額
この場合、90歳までに2,160万円が通常の生活費として必要であるということだね。今の自分の資産の額がこれよりも多ければ、老後資金はひとまず足りると考えられそう。
ただし、これは通常の生活費ニャ。旅行や子や孫への贈与、家のリフォーム、医療費などは別にかかることになるニャ。そういったものが不足しそうだという場合には、保険に加入したり、資産運用でお金を増やしていくといった工夫が必要ニャン!
終活は、老後の生活の不安や死後の不安をなくして、第2の人生も楽しめるようにするために必要なんだね。
そうニャ。だから終活を始めるのに早すぎるなんてことはないニャン!自分の老後のためにも、大切なご家族のためにも、終活を始めてみるニャン!
子どもの立場としては遺される自分のために終活をしてくれとは、なかなか親には言い出しにくいわよね…。
でも、終活は親御さんご本人の安心な老後生活にも役立つものなのニャ。まだ親御さんが終活について考えていなかったとしても「お父さんお母さんの老後についても、一緒に考えよう」と進めてもらいたいニャン!
我が家は「ちゃんと終活について考えてるよ」とマネ娘たちに伝えておいてね、マネキン!
任せてニャン!次回は「相続を受ける」側のテーマで話をするニャン!
板倉 京(いたくら みやこ)
シニアマネーコンサルタント・税理士・IFA
保険会社勤務の後、いったん専業主婦になるも、一念発起して、税理士資格を取得。大手会計事務所、財産コンサルティング会社勤務などを経て、2005年に税理士事務所を開業。女性税理士の組織 、株式会社ウーマン・タックス代表、資産コンサルティング会社である株式会社WTパートナーズ代表を勤める。相続や資産運用に詳しい税理士として、シニアのクライアントを多く抱え、年間100人以上の相談を受ける。また、一児の母でもあり、実生活に根差した視点とわかりやすい解説から、テレビや雑誌などでも人気。「あさイチ 」、「大下容子ワイド! スクランブル」などのテレビ出演や、全国での講演も多い。著書に「夫に読ませたくない相続の教科書」(文春新書)、「税理士がアドバイスする! ! 相続手続で困らないエンディングノート」(ぎょうせい)などがある。