児童手当が拡充!支給対象や支給額の変更点、最新の子育て支援策を解説

2024年10月から、児童手当の制度が大幅に拡充されました。児童手当とは、子どもを育てている各家庭に対して、そのお子さんが一定の年齢になるまで、実際に養育をしている保護者に、決まった金額を支給する国の制度です。
これまで児童手当には所得制限があり、高所得世帯には支給されないケースがありましたが、新制度では所得制限が撤廃され、すべての子育て家庭が受給できるようになりました。

さらに、支給期間が高校卒業まで延長され、第3子以降の支給額が大幅に増額されているニャ!

子育てには何かとお金がかかるから、児童手当の拡充は家庭にとって大きな助けになるね。詳しく教えて!

もちろんニャ!拡充された児童手当の変更点やメリット、申請方法について詳しく解説するニャン。また、児童手当以外の子育て支援策についても紹介するニャ。
子どもの学費の備え方や制度については、こちらの記事もご覧ください。
・高騰する子どもの学費!お金の備え方から、学費の無償化など使える制度・手段を紹介!

・2024年10月から、児童手当の制度が大幅に拡充。所得制限が撤廃され、すべての子育て家庭が受給できるようになった。さらに支給期間が高校卒業まで延長され、第3子以降の支給額が大幅に増額されている。
・児童手当以外の子育て支援策では、2024年や2025年から新しく始まった制度も多く、自分の家庭が対象かチェックして活用しよう。
目次)
1.児童手当拡充の背景
2.児童手当拡充の変更点
3.児童手当の支給額シミュレーション
4.児童手当の申請方法
5.最新!児童手当以外の子育て支援策をチェック!
1.児童手当拡充の背景

児童手当は、子育てにかかる経済的負担を軽くして、子どもの健やかな成長を支援することを目的として創設されました。しかし、昨今日本では、子育てにかかる費用が増加しています。一人あたりの教育にかかる支出は増加傾向にあり、特に大学の進学費用が家庭の大きな負担になっています。
子どもにかかる教育費については、こちらの記事もご覧ください。
・子ども一人約2,500万円!?教育資金の賢い貯め方・作り方
そこで、政府は児童手当を拡充し、子どもが生まれてから高校を卒業するまで、より長期間にわたって経済的支援ができるように制度を見直したのです。
さらに、今回の児童手当拡充の背景には、日本の深刻な少子化問題があります。厚生労働省の調査によると、2023年の出生数(※)は約73万人と、この調査が始まった1899年以降最低の人数となりました。
出生数がピークだった1949年には約270万人いたため、この80年あまりで、約3分の1以下にまで減少しているのです。
※1年間で生まれた子どもの数

そんなに減ってるの!?

このまま少子化が進むと…
・公的医療保険や公的年金といった社会保障制度を維持すること
・労働力を確保すること
などが難しくなる可能性があって、日本という国の経済発展にまで多大な影響を与えるおそれがあるんだニャ…!
こうした状況を受け、政府は2023年12月に「こども未来戦略」を策定、少子化を改善するために次の3つを戦略の基本理念として掲げました。
賃金を上げることや雇用環境を改善させ、学び・就職・結婚・出産・子育ての経済的不安を軽減させる
② 社会全体の構造・意識を変える
企業や地域社会全体で子育てを支援し、男女が協力して育児できる環境を整備する
③ 全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する
親の働き方や家庭環境等にかかわらず、経済的・社会的支援を拡充する
この理念に基づき、「加速化プラン」として、2030年代に入るまでの短期間で集中的に取り組むべき施策が決まり、その一つとして児童手当の拡充が実施されることになったのです。それでは、どのように拡充され、どう変わったのか見ていきましょう。
2.児童手当拡充の変更点

児童手当が2024年10月分から変更された点は、主に3つあります。
①所得制限の撤廃
これまで児童手当には所得制限があり、一定の所得を超えた家庭は受け取ることができませんでした。しかし、変更後は所得制限が完全に撤廃され、すべての家庭が児童手当を受け取ることができるようになりました。
これまで「ほんの少し所得が基準を超えただけで受給できない」という不公平感を抱えていた方も多かったのではないでしょうか。今回の改正により、所得に関係なくすべての家庭が平等に支援を受けられるようになり、公平性が大きく向上しました。
②支給対象年齢の拡大
2つ目の変更点は、支給される対象年齢が延長されたことです。
変更前は「中学卒業(15歳の年度末)まで」の支給でしたが、変更後は「高校卒業(18歳の年度末)まで」となりました。
これにより、高校生の子どもを持つ家庭も支給を受けられるようになりました。高校生と言っても、正しくは「保護者が子どもを養育し、生計を同じくしている高校生年代(年度末(3月31日)での年齢が18歳までの子)」を指すため、次のような高校生は対象外となります。
・留年や留学によって、年度末に19歳になる高校生
・定時制高校4年生
一方で、高校には通わず就職をしていたとしても、父母等が子どもを養育して、生計を同じくしていれば、支給対象となります。
ちなみに、子どもが海外に住んでいる場合は、児童手当は原則支給されないのですが、要件を満たせば例外として支給を受けることができます。児童手当を受給できる要件は、以下のすべてを満たす場合となります。
2.教育を受けることを目的として海外に居住し、父母(未成年後見人がいる場合はその未成年後見人)と同居していないこと
3.日本国内に住所を有しなくなった日から3年以内であること

たとえば、ずっと日本に住んでいた高校生が、1年間だけ海外留学した場合は、3つの要件をすべて満たすため、児童手当の支給を受けられることになるニャ。
③支給額の増額(第3子以降は月3万円)
3つ目の変更点は、第3子以降の支給額が増額されたことです。
・2024年9月分まで
→ 第3子以降の場合、0歳~小学校卒業までは月1万5,000円、中学生時期は月1万円の支給
・2024年10月分から
→ 生まれてから高校を卒業するまでの18年間通して、22歳までの兄姉がいる間ずっと月3万円の支給

3人以上の子どもをもつ家庭にとっては、受け取れる金額がかなり大きくなる嬉しい変更だね!
例えば、第3子が0歳から高校卒業(18歳)まで支給を受ける場合、総額は最大684万円(※)となります。変更前は最大約270万円でしたから、なんと400万円近くも増えることに!
ただし、すべての3人目以降が約648万円受け取れるわけではありません。
第3子としてカウントされるのは、「年度末(3月31日)の段階で22歳までの年齢であり、親等に養われている3人目の子ども」です。
※4月生まれのほうが3月生まれに比べて11ヵ月多く受給できるため、実際に受け取れる総額は生まれ月によって異なる

たとえば、第1子と第3子の年齢が離れており、第1子が23歳を迎え、児童手当の支給対象外になった段階で、第3子は第2子の支給額に変更されるニャ。兄弟姉妹の年が離れている家庭は注意が必要ニャン!
④支払回数の増加
4つ目の変更点は、児童手当の支払回数が年3回から6回に増加したことです。それまでは、原則として6月・10月・2月の年3回にまとめて支給されていましたが、変更後は偶数月ごと(2月・4月・6月・8月・10月・12月)に受け取ることができるようになりました。
それまでは4ヵ月分の児童手当がまとめて支給されていましたが、今は2ヵ月ごとに受け取れるため、家計管理や急な出費の対応もしやすくなりました。また、学校の教材費や習い事の月謝など、その時々で必要になるお金も、よりスムーズに準備できます。
お金を上手に管理したい、家計管理を最適化したい、という方は、こちらの記事で便利な家計管理アプリをチェック!
・かしこい貯金は家計管理から!人気の家計簿アプリはコレ!
3.児童手当の支給額シミュレーション

中学卒業までだった児童手当は、高校卒業までもらえるようになったことで毎月10,000円が3年分増えるから、第1子、第2子の場合は子ども一人当たり36万円増額することになります。

児童手当の拡充によってどのくらい支給額が増えるのか、具体的にシミュレーションをしてみるニャ!
・子どもの生まれ年
第1子:2025年生まれ
第2子:2027年生まれ
第3子:2030年生まれ
この例では、
・第1子が生まれた2年後に第2子誕生
・その3年後に第3子誕生
・3人とも大学進学をして22歳の年まで親に養育される(大学卒業まで親の扶養内)
という設定で、第3子が18歳になるまでのシミュレーションをしてみました。


表内の金額は、以下の児童手当の特徴からあくまで最大の目安金額となっています。
・申請した翌月から支給される
・早生まれ遅生まれなど、生まれ月によって支給期間が変わる
第1子・第2子は、変更前は最大210万円でしたが、変更後は3年間支給期間が延びるため最大246万円。第3子は最大276万円から最大660万円に上がっています。
この例では、第3子が18歳の時に第1子が大学を卒業してしまうため第2子扱いとなり月1万円になっていますが、もっと第1子や第2子と年が離れている場合は、総額は少なくなります。

民間のサイトだけど、児童手当の支給額を計算するサイトもあるから紹介するニャ。
・子育て支援制度の速報と解説サイト「イクハク」
4.児童手当の申請方法

2024年10月に拡充された児童手当では、すでに支給されている人については基本的に手続き不要です。

でも、次の場合は「認定請求」という手続きが必要になるニャ!
・現在支給対象になっていない人が、新たに支給対象となる場合
・現在支給対象になっている人が、増額する場合
などは、「認定請求」という手続きが必要になるニャ!
今まで対象外だった人も、制度改正により、対象となった事で、2025年3月までに手続きすれば、2024年10月分からさかのぼって受け取ることができるため、該当される人は急ぎましょう。
・高校生年代の子どものみを養育している
・中学生以下の子どもを養育しているが、所得上限限度額を超過し、児童手当も特例給付も受給していない
・3人以上子どもがいて、22歳年度末までの上の子(※)がいる
※18歳の誕生日以後の最初の3月31日を経過した後22歳の誕生日以後最初の3月31日までの間にある子のうち、親等の経済的負担のある子
・新たに施設(※)入所等児童となる者がいる
※対象となる施設等は、児童手当法第3条第3項において定義されている施設
〇請求する人が会社員などの場合
→ 健康保険証利用登録がされたマイナンバーカード、健康保険の資格証明書、年金加入証明書の写しなど〇請求する年または前年の1月1日に今の市区町村に住民票のない人の場合
例)2024年5月以降2025年4月までに認定請求をする場合に、2024年1月1日に今の市区町村に住民票がない人
→ 前住所地の市区町村長が発行する児童手当用所得証明書(2023年分)
〇3人以上子どもがいて、22歳年度末までの上の子(※)がいて、上の子について監護に相当する世話等をし、その生計費を負担している場合
→ 監護相当・生計費の負担についての確認書
また、この他にも、請求者名義の金融機関の口座番号がわかるものなどが必要な場合もあるため、詳しくはお住まいの市区町村役場へ事前に問い合わせるとスムーズに手続きできるでしょう。
5.最新!児童手当以外の子育て支援策をチェック!

政府が進める子ども・子育て政策を抜本的に強化するための戦略「こども未来戦略」では、児童手当以外にも、さまざまな子育て支援策が実現、または検討されています。主なものをご紹介します。
最新の子育て支援策の一覧
■出産費用・保育など
・出産育児一時金の増額(2023年4月より)
・出産・子育て応援給付金の支給(2023年1月より)
・出産費用の保険適用を検討中
・保育所に通っていない満3歳未満の子どもが柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」の導入(2026年度より実施予定)
■大学の授業料無償化
・授業料後払い制度(2024年度より)
・奨学金の対象者拡充(2024年度より)
・多子世帯への所得制限撤廃(2025年度より)
■育休・時短勤務・仕事と育児の両立支援
・2歳未満の時期に時短勤務を選択した場合、賃金の10%を支給する「育児時短就業給付」の創設(2025年度より)
・子の看護休暇の対象年齢引き上げ・利用シーンの拡大(2025年度より)
出産後に確認したい産休から保育園などの手続きについては、こちらの記事をご覧ください。
・出産後に確認!産休から保育園までの諸手続きや夫婦の育児分担までチェックリストで確認!
■住宅購入支援
子育て世帯の住宅ローン金利優遇・住宅ローン控除優遇(2024年2月より)
住宅ローンの借り方については、こちらの記事をご覧ください。
・金利が上昇!これからの住宅ローンの借り方は?オススメは固定金利?変動金利?!
・家を購入するなら、住宅ローンは変動?固定?フラット35?どれがいいの?
これらの他にも、さまざまな施策が議論されているため、子育て関連のニュースにアンテナを張って、最新の支援内容をチェックしていきましょう。

2024年10月からの児童手当の拡充により、より多くの家庭が制度の恩恵を受けられるようになったニャ。制度改正にともなって新たに支給対象となる方は、忘れずに申請を行い、子育て支援を最大限に活用してニャン。

子育て世帯への支援はたくさんあるんだね。もし子どもができたらちゃんとチェックして活用しよう!

そうだね。私は細かいことをチェックするのが苦手だからその時はマネ男よろしく!

えー!
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