子どもの歯列矯正にかかる費用と安くする方法!歯並びを良くするメリットとは?

子どもの歯列矯正にかかる費用と安くする方法!歯並びを良くするメリットとは?

近年、行われた調査では、10人のうち3人は子どもの頃に歯並びを矯正した経験があることがわかっています。子どもの時期に歯並びの矯正をすることは、健康面はもちろん、将来の可能性にも影響し、生涯に発生する医療費面においてもメリットがあります。

マネ男

確かに歯並びの矯正は一生を通してみれば良い投資ではあるけど、それなりの費用がかかるよね。安くする方法があれば知っておきたい!


マネキン

任せてニャ!子どもの歯列矯正治療のメリットや費用、費用を抑える方法などを教えるニャン。

・子どもの歯列矯正は、成長期の子どもの顔の骨格を正しく成長させ、顔立ちまでも変えていく治療である。
子どもの時期に歯並びの矯正をすることは、健康面はもちろん、将来の可能性にも影響し、生涯に発生する医療費面においてもメリットがある。
・歯列矯正の費用を安くする方法は、主に高額療養費制度の利用モニターとして治療を受けることが挙げられ、条件を満たせば健康保険を使うこともできる。

 

目次)

1.子どもの頃に歯並びを矯正するメリットは?
2.子どもの歯列矯正の治療方法と費用
2-1.機械的治療用
2-2.機能的矯正
2-3.歯科医師選びも大切
3.子どもの歯列矯正にかかる費用を安くする方法
3-1.子どもの歯列矯正には健康保険が適用されるケースもある
4.子どもの歯列矯正は医療費控除の対象になる?

 

1.子どもの頃に歯並びを矯正するメリットは?

1.子どもの頃に歯並びを矯正するメリットは?

大人の歯列矯正(歯科矯正)は、すでに成長を終えた骨格の中で、歯並びをきれいにするためにベストを尽くす治療です。一方、子どもの歯列矯正は、成長期の子どもの顔の骨格を正しく成長させ、顔立ちまでも変えていく治療です。つまり、子どもの頃に歯並びの矯正をすることは将来の見た目にも影響するのです。
マネキン

子どものうちに歯並びを矯正しておくことには次のようなメリットがあるニャ。

●あごや口まわりの成長を正しく導くことができる
あごや口まわりの骨格は子どもの時期に成長します。噛み合わせの悪い状態を放置しておくと、あごや口回りの成長に偏りが生じ、顔のバランスが崩れてしまうことも。子どもの時期に歯並びの矯正を行うことで噛み合わせが改善され、あごの骨が正しく成長し、顔のバランスが整えられます。

●頭やあごの骨が正しく成長すれば、自然と歯がきれいに並ぶ
成長途中の子どもの時期に歯並びの矯正を行い、あごの骨が正しく成長すれば、歯並びも自然と美しく整います。

●顔の骨格が正しく成長することでバランスのよい顔立ちを手に入れることができる
自己肯定感に大きな影響を与える要素のひとつが「顔立ち」です。整った骨格で、バランスのよい顔立ちを手に入れることは、自己肯定感を高めることにつながります。

●自信を持てる
歯列矯正は根気のいる治療です。きちんとやり終えることができれば、子どもにとっての自信となります。

●運動能力が高まる
歯をしっかり噛みしめることで、あごはもちろん首筋や胸、背中の筋肉も動くことになり、大きな力を発揮できます。

●頭がよくなる
歯列矯正をして口の中の健康状態がよくなるとしっかり噛むことができます。噛むことで脳のシナプスの成長が促され、頭がよくなります。

●ストレスが軽減される
子どもは日々、何らかのストレスを抱えているものです。歯並びの悪さや歯痛といった口の中のトラブルはさらにストレスを増やす要因になります。歯並びの矯正をすることはストレスを軽くすることにも有効です。

●健康寿命が長くなる
近年の研究によって、残っている歯が多いほど健康寿命が長くなることがわかっています。子どもの頃に歯列矯正を行うことで歯への健康意識が高まり、歯を健康に保つことは、介助や介護などを受けずに自分で生活できる期間が長くなることにつながります。

健康への投資については、こちらの記事もご覧ください。
医療費・介護費…やらないと1,400万円損をする!?「健康への投資」した場合しない場合のお金を比較!

●経済的負担が軽くなる
歯のケアをすることは全身の病気の予防につながります。つまり、歯科治療はもちろん、他の多くの病気の治療を受ける可能性が低くなり、医療費の負担が少なくなります。

マネ娘

こんなにメリットがあるんだね!歯列矯正をするなら絶対に子どもの時期に済ませた方がよさそう…。逆に大人になってからはできないものなの?


マネキン

歯列矯正は大人になってからでもできるけど、次のようなデメリットがあるんだニャ。

・すでに成長が終わっており、できあがっている骨格の中で歯をきれいに整えるためのスペースが足りない場合があります。その場合は、歯を抜いたり削ったりする必要が生じます。

・歯並びが大きく乱れていると通常の矯正歯科では治療が困難になることもあります。その場合は、あごの骨を削るなどの外科的手術を行うケースも少なくはないため、治療費もかさみます。

・歯並びの悪さを気にしすぎると大きなストレスになることもあります。

・仕事や家族の予定などで忙しい大人とって、定期的な通院は負担が大きくなることがあります。

このように、子どもの可能性を広げる意味でも、健康面でも金銭面でも歯並びを矯正することは有効です。子どもの歯列矯正を行う場合は、あごが正常に発達する年齢にあわせて小学校低学年にはじめるのが理想的です。

マネキン

歯列矯正をした人に、体験談を聞いてみたニャ!

Aさん(30代女性)
「私は大人になってから歯並びの矯正をしたのですが、抜歯をしたりと意外と大掛かりになり不安なことも多かったです。子どもには同じ思いをさせないようにと小学校低学年から歯列矯正を始めました。抜歯などをすることなくきれいな歯並びになって本人も喜んでいますし、私自身、『できることなら子どものうちに歯列矯正をしたかった!』と思いました」

 

Bさん(40代男性)
「僕は子どもの頃から歯並びが悪く、笑った時に八重歯が目立つのがコンプレックスだったので、小学生の時に親と相談して歯列矯正を始めました。思春期でもあったので、歯にワイヤーが付いているのを人に見られるのことに恥ずかしい気持ちがありましたが、大人になった今では、歯並びがいいと人から褒められ、自信がつき自己肯定感が上がりました。歯磨きもしやすくなり、虫歯になりにくく、かみ合わせもよくなって肩こりなどが減ったような気がします。早いうちにやっておいて本当によかったです」

 

大人のホワイトニングなどの審美歯科の種類や費用については、こちらの記事をご覧ください。
テレワークで歯のホワイトニングをする人が急増!? 今注目の審美歯科の種類と費用、コストの抑え方

2.子どもの歯列矯正の治療方法と費用

2.子どもの歯列矯正の治療方法と費用

子どもの歯列矯正は「機械的治療」と「機能的治療」の以下の2つに大きく分けられます。
機械的治療 → マウスピースなどの装置の使用に重きを置いたもの
機能的治療 → 口内やあごなどの筋肉を鍛えて本来の機能を回復させつつ、補助的に装置を使う方法

マネキン

それぞれの治療の詳細と、メリット・デメリットを見てみるニャ。

機械的治療

装置を使うことで歯を動かす治療。装置を固定する「固定式」と、装置を取り外しできる「取り外し式」の2通りの治療法があります。

メリット
特に努力をしなくても装置によって歯並びを整えることができる。

デメリット
歯磨きをしっかり行わないと虫歯になりやすい。

ポイント
歯列矯正のための努力をすることが難しい子どもでも治療が可能。

 

【固定式】
〇マルチブラケット(ワイヤー矯正)
・特徴
歯の表面、又は裏側に「マルチブラケット」と呼ばれる装置を取りつけ、ワイヤーを通して固定して歯を移動させていく矯正治療。ベーシックな矯正法で症例も多いのがメリット。装置をつけた直後は痛みを感じることもあります。

・平均費用
70万~90万円

・改善が期待できる歯の状態
上顎前突や上下顎前突、過蓋咬合、切端咬合、八重歯など、ほぼすべての歯の状態に対応

〇リンガルアーチ(ワイヤー矯正)
・特徴
歯の裏側にワイヤーを通して固定する矯正装置。歯の裏側にワイヤーを通すため、外から装置が見えにくい、歯に負担がかかりにくい、痛みも強くないなどのメリットがあります。ただし、歯の不快感や話しにくさを感じる場合もあります。

・平均費用
40万~60万円

・改善が期待できる歯の状態
下の前歯が上の前歯より前に出ている反対咬合

 

【取り外し式】
〇プレート矯正(床矯正)
・特徴
プレートつきの装置を口内に装着し、プレートのネジを回転させながら顎の骨を少しずつ拡大させ、歯並びを改善するためのスペースを確保する治療法です。食事や歯みがきの時には取り外すことができ、口内を清潔に保てるのがメリット。固定式にくらべて治療期間が長くなりやすいというデメリットもあります。

・平均費用
一期治療(永久歯へ交換途中):30万円~50万円
二期治療(永久歯交換後):60万円~120万円

・改善が期待できる歯の状態
出っ歯や歯が重なりあう叢生、受け口といった不正咬合、出っ歯や凸凹の歯並び

〇インビザラインファースト(マウスピース矯正)
・特徴
乳歯と永久歯の交換期にある6歳~11歳を対象とした子どものための矯正治療。取り外し式のマウスピース型装置を装着し、「あごの骨の拡大」と「歯列矯正」を同時に行えるのが大きな特徴。装置を取り外しできるので食事や歯磨きをストレスなく行えます。ただし、装置の装着をしっかり行わないと思うような結果が得られないこともあります。

・平均費用
40万~60万円

・改善が期待できる歯の状態
空隙歯列、すきっ歯

 

機能的矯正

口呼吸で口が開いている、舌が口から出るといった状態が続くと、正しい圧力が歯に加わらず、歯並びが悪くなる要因となります。機能的矯正は口回りや口内の筋肉を鍛えたり、鼻呼吸などを行うことで本来の機能を回復させる治療法で、トレーニングがメインの治療と装置がメインの治療法があります。

メリット
歯並びが悪くなる根本的な要因から改善できるため、矯正後の歯並びを維持しやすい。
 
デメリット
自制心があり、自分である程度の努力を続けないと思うような効果を得にくい。
 
ポイント
自制心があり、歯列矯正のための努力ができる子どもに向いている。

 

【トレーニングがメインの治療法】
〇マイオブレース(マウスピース矯正)
・特徴
歯の周りにある口腔周囲筋の機能を正常に整えるトレーニングを行い、起きている間の1時間と就寝中のみマウスピースを装着する治療法。治療中の痛みやわずらわしさがないのがメリットですが、習慣化が難しいというデメリットもあります。

・平均費用
40万円程度

・改善が期待できること
歯並びやかみ合わせを悪くする習慣や癖、あごの発達と歯並び、顔の歪み

 

【装置がメインの治療法】
〇バイオネーター
・特徴
ワイヤーとプラスチックのプレートでできた装置を口の中に装着し、拡大ネジを少しずつ調整して下顎の成長を促します。取り外しができる点がメリットですが、指示通りの装着方法や時間を守らないと思うような結果につながらないため、本人の意思や家族の協力が不可欠です。

・平均費用
10万~30万円

・改善が期待できる歯の状態
出っ歯、受け口、過蓋咬合

〇フレンケル装置
・特徴
1966年にドイツで考案された機能的矯正装置で、ワイヤーの骨格と樹脂製の小型口蓋床部から構成されており、患者さんに合わせて作られます。正しく使えば口まわりの筋肉を整え、歯並びを改善するために必要な筋肉の働きを活発にすることができますが、1日20時間程度の装着が必要です。

・平均費用
10万円程度

・改善が期待できる歯の状態
出っ歯、過蓋咬合、受け口、開咬などさまざまな症状に対応

歯科医師選びも大切

歯科医師選びも大切

子どもの歯並びの悪さは、口呼吸や舌の位置の悪さといった環境による原因が9割で、根本的な機能を回復することが望ましいと言えます。

歯列矯正をする場合、
「歯並びの根本から治したい」
「歯並びがある程度整えばよい」
「芸能人のようなきれいな歯並びにしたい」
など、どのような仕上がりにしたいかによっても治療法は変わってきます。

歯列矯正は長期間にわたる治療です。そのため、通いやすさはもちろん、患者さんにわかりやすい説明をしてくれる、患者さんの不安や疑問に納得のいく回答をしてくれるような歯医者を選ぶことが大切です。

3.子どもの頃に歯並びを矯正するメリットは?

3.子どもの頃に歯並びを矯正するメリットは?

歯列矯正には費用がかかりますが、保険適用外のため自費診療となります。少しでも費用を安くするためには、次のような方法があります。

●高額療養費制度の利用
同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分があとで払い戻される制度です。

・70歳未満で所得が月額26万円以下、健康保険の負担割合が3割の場合の例
自己支払額 30万円
高額療養費見込額 24万2,400円
自己負担額 5万7,600円

 

●モニターを募集している歯科医院を選ぶ
症例写真の提供など、クリニックに協力することで料金の割引などの特典を受けることができます。

・ホームページや学会発表のため、ワイヤー矯正の治療の症例写真を提供する場合の例
→ 49万5,000円 が45万5,000円になる・ホームページや雑誌広告用に、インビザラインの治療の症例写真を提供する場合の例
→ 35万円が25万円になる

※モニターとしての治療にはさまざまな条件があるため、料金だけに目を向けずにきちんと調べてから申し込むことが大切です。

 

子どもの歯列矯正には健康保険が適用されるケースもある

子どもの歯列矯正には健康保険が適用されるケースもある

マネキン

条件を満たせば健康保険を使って歯列矯正ができるニャ!

一般的な歯列矯正は健康保険の適用外ですが、下記の3つのケースでは矯正歯科治療が保険診療の対象になることがあります。

①特定の病気による歯の異常の場合
唇顎口蓋裂やダウン症候群など、生まれつきあごや口の骨格に異常がある場合。これらの病気によって歯並びや噛み合わせに問題が生じていると矯正治療が保険適用になることがあります。

②歯が生えそろわない場合
前歯や奥歯が3本以上生えそろわない場合で、手術が必要な場合。歯が生えそろわないことで噛み合わせに問題が生じていると、矯正治療が保険適用になることがあります。

③顎変形症と呼ばれる、上下の顎の骨の大きさが著しく異なる場合
手術とともに矯正治療を行うことが多く、保険適用になることがあります。

また、保険適用を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

・上記の病気のいずれかに該当すること
・病気によって歯並びやかみ合わせに機能的な問題が生じていること
・厚生労働大臣が定める施設基準を満たした医療機関を受診すること

健康保険が適用になった場合、加入している医療保険の内容や条件によっては保険金が支払われることもあります。

4.子どもの頃に歯並びを矯正するメリットは?

4.子どもの頃に歯並びを矯正するメリットは

マネキン

医療費控除の対象についてはこちらの記事でも詳しく解説しているニャ。


こんなのも対象、家族分も含められる!実は知られていない医療費控除で所得税、住民税がお得!

国税庁の「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」によれば、子どもの噛み合わせの治療を目的とした歯列矯正は医療費控除の対象として認められています。つまり、子どもの歯列矯正は基本的に医療費控除が認められるケースが多いということです。

ただし、見た目を美しくすることを目的とした歯列矯正の場合は、医療費控除の対象外となります。お子さんの歯列矯正が医療費控除の対象になるかどうか、管轄の税務署に確認しておくと安心です。

医療費控除の対象になる場合は、歯列矯正の治療費はもちろん、医薬品の購入費や公共交通機関の利用費も医療費控除の対象となります。

医療費控除は確定申告の際に申請します。確定申告書のほかに医療費控除の明細書、本人確認書類、医療通知書などの書類を用意しておきましょう。

<医療費控除の対象となった場合の一例>
総所得額が330万円以上694万9,000円の場合の計算式
1年間にかかった医療費-保険金等で補助された額-10万円医療費が30万円、総所得額が330万円、保険金2万円が支払われた場合
30万円-2万円-10万円=控除額は18万円総所得額330万円の所得税率は20%のため「18万円×20%=3万6,000円」という計算となり、3万6,000円が戻ってきます。

このように、医療費控除を利用することで経済的な負担を軽減しながら、子どもの健やかな成長を実現することが可能になります。

歯列矯正にはある程度の費用がかかりますが、子どものうちに歯並びを矯正しておくことで多くのメリットを享受できます。長い目でみれば、子どもの将来にとって有益な投資とも言えるでしょう。

マネキン

費用を抑えるための方法も考慮しながら、ぜひ子どもの歯列矯正を検討してほしいニャ!


マネ娘

子どもの時期に歯並びを矯正することでこんなにメリットがあるなんて知らなかった!って、なんか奥歯が痛い…!虫歯!?


マネ男

マネ娘はお菓子をよく食べるから、定期的に歯医者さんに行ってきなさい!


マネ娘

はーい(涙)。

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監修者:村瀬千明先生
村瀬千明先生

日本矯正歯科学会認定医。1979年千葉県生まれ。2005年東京医科歯科大学卒業。結婚、出産を経て2009年、東京医科歯科大学矯正歯科臨床専修過程に入局。2011年、夫とともに千葉県市原市に「むらせ歯科医院」を開業。2012年、専修過程終了。医療法人千友会設立。2013年、日本矯正歯科学会認定医を取得。現在、千葉県内にて歯科矯正、予防歯科に特化した4つの歯科医院を運営している。著書に『【親子二人三脚歯科矯正】が子どもの人生を変える!』(サンライズパブリッシング)

 

執筆者:熊谷あづさ
熊谷あづさ

ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、著者インタビュー、人物インタビュー、書評などの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。