“好きな場所で仕事ができる時代”テレワーク×移住 で知りたい費用や使えるサービス

目次)
1.今、郊外や地方に住まいを移す人が増えている
2.住まい・住環境を変えるとき、どんなパターンがある?
①移住
②デュアルライフ(二拠点生活)
③ノマド的生活
3.住まい・住環境を変えるとき、考えるべきポイントと注意点
4.住まいを変えることで活用できる制度やサービス

マネ男

僕たちもすっかりテレワークに慣れたね。

マネ娘

そうだね。同じくテレワークの友達は、海が好きだからって会社から離れた地方の海沿いに引っ越したよ。出社しなくても仕事ができるからって。

マネ男

コロナ禍でテレワークが増えて、そうやって移住する人も増えているみたいだね。場所に縛られることなく仕事ができる時代になったわけだ。

マネ娘

好きな場所で仕事ができる、そう考えると、移住もしてみたくなってきた!

マネキン

確かに移住する人は増えたニャ。でも実際、今までと違う環境に行くわけだし、お金はもちろん、いろいろな準備が必要だニャン。

マネ娘

確かにそうかも…。実際、移住するとなったら、どのくらいお金がかかるんだろう?必要な手続きや、住む家を決めるために確認すべきポイントとかもありそうだね。

マネキン

その通りニャン。勢いで決めるんじゃなくて、自分達がそこで住まうイメージを事前に持って、いろいろな視点から生活していけそうか判断して移住することが大事ニャ。そしたら今回は、テレワークをする人の移住する場合にかかる費用から確認すべきポイント、移住する場合に使えるサービスなどをまるっと解説していくニャン!

1.今、郊外や地方に住まいを移す人が増えている!

国土交通省が令和3年度のテレワーク人口実態調査結果によると、コロナ後、以下のような傾向が見て取れます。

・現在テレワークを取り入れる企業が増えている
雇用型テレワーカーの割合は、コロナ禍前の令和1年には全国で14.8%だったのが、令和2年には23%と大幅に増え、令和3年には27%と更に増えています。

・首都圏のテレワーク率が高い
首都圏では、令和3年の雇用型テレワーカーの割合が42.3%と他の地域に比べて高い水準になっています。

・通勤圏内で郊外の広い自宅に住まいを変える人が多い
首都圏、近畿圏、中京圏への転居者では、8割以上が同じ圏内から転居しています。

上記は、会社員などの雇用型就業者のテレワークについてですが、地方でも「田舎暮らし」を求めて、以前からさまざまなかたちで住まいや住環境を変える方は増えています。

マネキン

令和3年に総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査でも、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の人口の伸びが鈍り、令和2年に0.37%だった伸び率は0.07%にも縮んだニャ。
東京都に転入した人から転出した人を差し引いた「転入超過」は5,433人と、比較可能な平成26年以降で最少を更新し、特に東京23区では初めて転出が転入を上回ったニャ!このように、コロナ禍でテレワークの普及などが進み、都心から人が出ていく動きが加速していることがわかっているニャン。

マネ男

なるほどなぁ。仕事はそのまま変わっていない人が多いのかな?

マネキン

それも人によって多種多様ニャ。会社員の場合、元の勤め先のままの人もいれば、転居地で新たに勤め先を探す人もいるニャン。自営業であれば、今の事業を継続する人もいれば、転居地で起業する人ももちろんいるニャ。

マネ娘

住まいも仕事も、自分が求める方向に進む人が増えてるんだね。

マネキン

そうニャ。それに住まいを変えると言っても、自分の働き方に合わせて完全に移住する以外にいくつかパターンがあるニャ。次で紹介するニャン。

2.住まい・住環境を変えるとき、どんなパターンがある?

①移住

現在住んでいる場所とは別の場所に移り住む、いわば引っ越しをするパターンです。

移住とひとくくりに言っても、長期で本格的に移住、目的の期間だけ短期移住などさまざま。その土地に身を置いて四季を通してその土地を満喫できることがメリットです。

ただ、元の住まいを離れて移住先を拠点とするわけですから、慎重になってなかなか移住を決断できない方も多くいらっしゃいます。

また、元の住まいを売却して移住先に理想の住まいを購入したのはいいけれど、移住先の住環境が合わなかった場合は、住まいの売買費用や移住費用、移住の労力が痛手となります。

マネ娘

確かにいざ引っ越してその土地が合わなかったときはショックだなぁ…。
何か対策はないのかな?

マネキン

オススメなのは「お試し移住」ニャ!
長期本格移住の場合はとくに、家を購入する前に、短期賃貸などで住環境を確かめることで失敗を防ぐことができるニャン。

マネ娘

なるほど!少し時間はかかるけど、長く住む場所だし、自分に本当に合うかちゃんと確認したほうが後悔しないね。

移住にかかる費用としては、
・住まいの売買費用
・賃貸費用
・移住先で必要となるもの(例えば車など)
があり、これらを見積もってから移住すべきですが、逆に移住することで都心に比べて賃貸費用や生活費はおさえられることも多いので、プラス面とマイナス面の両方を考えてお金の見通しを立てましょう。

②デュアルライフ(二拠点生活)

文字通り、住まいの拠点を2つ持ち、行き来する生活です。

例えば、
・主な住まいと週末のセカンドハウス
・半リモートの場合の、田舎の住まいと都心の会社近くの住まい
・親の介護をしている場合の、自宅と実家
などです。

両方のメリットを半々で享受できるのがメリットですが、住居費はもちろん2拠点分、家具家電や衣類・日用品も2拠点分が必要になる場合もあります。そして、お掃除などの労力(業者などに頼む場合は費用)が1拠点よりかかります。

しかし、これらをうまくやりくりできるなら、また介護などの大変な状況でなければ、田舎と都会の良いとこ取りができるデュアルライフは理想的生活といえるのではないでしょうか。

③ノマド的生活

「ノマド」とまではいかなくても、拠点をひとつ持ちつつ、月の一定日数をいろいろな土地で、ホテル暮らしやエアビー生活をする方々もいらっしゃいます。

かかる費用としては宿泊費や交通費などがあり、滞在先によってさまざまな環境に柔軟に対応できることが必要になります。

マネキン

最近では、サブスクリプションで各地の家に住むことができるサービスがあったりもするニャ。そういったサービスを使って宿泊費をおさえたり、環境に対応できる工夫を身に付けるのも一つの手だニャン。
サービスの価格帯はさまざまで、システムも異なるニャ。
気になる人はネットで「サブスクリプション 家」「住宅サブスク」などで調べるとたくさんサービスが出てくるから、滞在先の良し悪しなど自分で確認してみることをオススメするニャ!

例:ADDress

3.住まい・住環境を変えるとき、考えるべきポイントと注意点

マネ男

いろいろな住まい方があるんだね!僕たちに合うのはどれかな〜。

マネキン

ちょっと待つニャ!住まい方を変える前に、最初いろいろな準備が必要と言ったように、確認すべきポイントがたくさんあるニャ。次に話すこともしっかり確認した上で住まいを検討してほしいニャン。

①住まい探しの前に考えるべきポイントは?

■目的を確認する!

マネキン

何事にも目的を見失わないことが大事ニャ。
ここをしっかり確認しておかないと、住まい先探しをしているうちに、何を基準に選んだらいいか、移住する意味や住環境を変える意味も分からなくなって、結局実行できなくなることが多いニャ。

目的が明確になっていれば、どんな場所、どんな家に住んだらいいかがはっきりしやすくなります。

例えば、夫婦ともテレワークになり、
「今と同じ家賃で、それぞれの仕事部屋を持てる広い家に住み替えたい。仕事の合間は、自然の中を散歩などして気分転換したい。子どもが自然と触れ合えるような教育をしたい」
というのが目的であれば、
・今より田舎で、広くても家賃がおさえられる場所
・自然に囲まれた家
・子どもが遊べる自然溢れる公園などがあり、自然と触れ合う理想の保育と教育をしてくれる保育園や学校に通いやすい地域

を探す、というように明確なイメージができます。

■必須条件、優先順位を確認する!

住まい先の必須条件や優先順位をハッキリさせておくと、すべての希望を満たす住まいがなかった場合でも、何を譲歩するのか、それとも保留や断念をするのかの判断もしやすくなります。

条件や優先順位は以下のようなカテゴリーに分けると考えやすいですよ。
・仕事(元の仕事をテレワークで継続できる、その土地で起業できる、など)
・子育て環境(理想の子育てのための学校や環境があるか、安全か、など)
・住宅(広さ、立地、景観、など)
・趣味(近くの海でサーフィンができる、家庭菜園ができる、など)

②住まい・住環境を変える際の注意点

■自分の苦手なこと・不得意なことを考慮して探す・変える!

・車の運転
ずっと都会に住んでいる方、とくに首都圏暮らしの方は、車の運転ができない、何年もしていないという方が多いのですが、地方では、駅や病院、スーパーに行くにも車があったほうが便利というところがほとんど
今後も車の運転をしないのであれば、徒歩や自転車などで生活のための移動が完結できる住環境で住まいを探す必要があります。

マネ娘

私だ…。免許は持ってるけど、運転はもうずっとしてないや。

マネ男

そこは僕が教えるよ!

・病院
例えば、持病をお持ちの方はその専門医のいる病院、子どもがいらっしゃるご家庭は緊急に診てくれる病院がある地域で探す必要があります。

・人付き合い
人にもよりますが、都会はやはり人付き合いがドライな傾向があります。
地方は、お祭りや四季の行事など人との関わり合い、助け合いの場が多くなります。
そこが地方、田舎の魅力でもありますが、人によって合わない場合もあるので、住まいの購入や本格移住をする前に、ぜひ地域の方との関わり方や雰囲気を確かめてください

・虫や動物
田舎は都会よりも虫や動物との遭遇の機会が多くなります。
見るのも苦手!という方は再検討が必要ですし、なるべく遭遇機会の少ない場所やマンションを選んだり、対策グッズで備えたりする必要があります。

■お金の見通しを立てる!

マネキン

そして最後の注意点ニャ。これまで紹介したパターンや必要な準備には、全て「お金の見通し」を立てる必要があるニャ。

マネ娘

「お金の見通し」??

「お金の見通し」とは、
・移住や二拠点生活などをした場合の収入の予測
・住宅、車、生活費などの支出の予測
・上記の収入と支出の予測で、一生涯お金に困ることがないかの試算

をすることです。

移住先や住まい方、生活スタイルによってかかる費用は大きく変わります。
試算をした結果、お金の見通しが厳しいようであれば、住まい・住環境の変え方を見直す必要がありますし、全く見通しが立たないということになれば、しかるべき準備をしてから再検討したほうが良いと言えます。

マネ娘

前に話した、将来必要なお金を見通す「ライフプランシミュレーションとも話が通ずるね!何をするにも、実現するには計画性が大事ってわけだ。

将来必要なお金を見える化!ライフプランシミュレーションを作ってみよう!

マネキン

その通りニャ!そしてお金の見通しを立てるときは、なるべくリアルに移住先での生活を思い描くことがポイントニャ。
例えば、移住先では車が必要になるか?それも夫婦それぞれ1台ずつ必要か?など、家賃が安くなっても他の費用でプラスマイナスがさほど変わらない場合もあるニャン。

マネ娘

やっぱりまずは「お試し移住」が最善だね!

4.住まいを変えることで活用できる制度やサービス

マネ男

やっぱりお金の準備は大切だね。そういった費用を少しでもカバーできたりするサービスはないのかな?

マネキン

移住の需要の高まりから、その地域へ移住しやすくなるようなさまざまな制度やサービスを提供する自治体が増えてるニャ!
上手に活用すれば大きなメリットがあるニャ。

 

<移住を支援する制度やサービスの例>
■住まい(住宅購入に対する補助金、空き家バンクなど)
補助金には要件があり、移住元、移住先、世帯構成、就業形態などにより異なりますが、数十万円~100万円くらい受け取れる場合があります。(補助金の有無や金額は自治体によって異なります。詳しくはそれぞれの自治体にご確認ください)

■仕事

・就労支援(地元企業と移住先での就労希望者とのマッチングなど)
・起業支援(補助金など)
・農業支援(始めるにあたって研修や研修手当があるところも)

■コミュニティ

・移住前、移住後の相談窓口
・交流カフェ
・地域おこし協力隊

各地の自治体でそれぞれ要件が違うため、住まい先を検討しているエリアの自治体に直接問い合わせたり、サイトで調べたりして、情報収集と確認をするといいでしょう。

また、移住に興味があって情報を集めたい、移住先を探しているという場合は、いろいろな交流サイトや情報サイト、コミュニティがありますので、そこで情報収集をしたり、地域の方や移住の先輩方と交流してみるのも、よりリアルな声を聞くことができるのでオススメです。

マネキン

最近では、オンラインで参加できる自治体の説明会やイベントも増えているニャ!少しでも移住が気になったら一度参加してみると良いニャン。

マネ娘

ホントだ。「気になるエリア+自治体」「気になるエリア+移住」とかのワードで調べるとたくさん出てくるね!

マネ男

一度の人生だからこそ、自分が「自分らしく」生きられるライフスタイルや住環境を考えて、追求してみてもいいかもしれないね。

マネキン

その通りニャ!幸せが人それぞれあるように、暮らし方や住環境の理想も人それぞれニャン。

マネ娘

私は暑いのが苦手だから涼しい北の方に住んでみたいな〜。

マネ男

え、僕は寒がりだから南の方がいい!

マネ娘

えー!じゃあジャンケンで決めよう!

マネキン

2人とももっと真面目に考えるニャー!

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執筆者:遠山 有美子(ファイナンシャルプランナーCFP)

✿地方移住・フリーランスのLife&Money Stylist✿「自分らしい生き方」「時間と場所、組織に縛られない生き方」をコンセプトに、自分と同じフリーランスや、都会から少し離れたいという地方移住・ワーケーション生活希望の方々を応援。100歳までの豊かな暮らしに必要なお金の準備を提案する。証券会社、生命保険会社勤務の後、商品販売をしないお客様のお金のコンサルティングに特化したファイナンシャルプランナーとして、独立。ご相談からセミナー、執筆まで幅広く活動する。
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