「サラリーマンの私も必要?」確定申告のメリットと方法を解説!
目次)
・「確定申告」とは、所得税額を計算し精算する手続きのこと
・サラリーマンでも確定申告が必要なパターンは?
・いざ還付を受けるべく確定申告をしよう!というあなたへ
・2022年 から確定申告の申告方法が変わった
- 1.押印は不要
- 2.マイナンバーカードで楽々申告
- 3.スマホのカメラで源泉徴収票を自動入力
フリーランスで働いてる友達が「今年も確定申告がめんどくさい~!」って言っててなんか大変そうだったなぁ。
そっか、もうそんな時期だね。
めんどうに思うかもしれないけど、払いすぎた税金が戻ってくる大切な手続きニャ。
でも僕みたいなサラリーマンは必要ないもんね?
そんなことはないニャ!サラリーマンだって確定申告はしたほうがお得なケースもあるニャ。しかも昨年2022年から申告方法が変わってるんだニャ。
そうなの!?全然知らなかったよ。そもそも確定申告についてあんまり知らないかも
じゃあ、今回はサラリーマンなら知っておきたい、確定申告をしなくてもいいけどした方がお得!なケースを中心に、いまさら聞きにくい確定申告の基本や、意外と簡単に申告できるコツ、2022年からの変更点なども合わせてご紹介するニャ!
「確定申告」とは所得税額を計算し精算する手続きのこと
そもそも確定申告って何を計算しているの?
確定申告とは、“所得税”という税金の計算をして、税務署に申告することをいいます。
税金の計算の対象になる期間は1月1日~12月31日までの1年間。この1年間の、“すべての所得(≒利益)”をもとに、所得税額を計算し精算をする手続きです。
精算するというのは、多く納め過ぎていれば還付してもらえるし、足りなければ納付をする、ということニャ。
あれ?会社でやってくれる年末調整と確定申告は何が違うの?
どちらも“所得税の計算”をし、“精算をする”という手続きを行っている点においては、根本的には同じことをしているニャ。
大きな違いは、年末調整は書類を提出すれば会社がやってくれるのに対し、確定申告は自ら計算し、自ら申告書を作成して提出する、という点です。
計算方法や税金の知識がなければ難しそうに感じるかもしれませんが、年々確定申告が簡単にできるように改善されてきています。
国税庁の確定申告書作成コーナーでは、税金の複雑な知識がなくても、質問に答えていくだけで、必要な書類を自動判定し、決まった場所に金額や文字を入力すれば、税金の計算もしてくれます。
年末調整ではできない医療費控除や、ふるさと納税(※)、住宅ローン控除1年目など、確定申告をすれば税額が還付される場合があるニャ!
※ふるさと納税先が5団体以内で、各ふるさと納税先の自治体にふるさと納税ワンストップ特例の申請をした場合は、原則として確定申告は不要です。
あなたは本当に確定申告が不要?確定申告が必要な人、必要ない人
まずは、確定申告をする必要があるのか、ないのか。なかったとしても確定申告をするとお得になるのか?を見ていきましょう。
下のフローチャートは、サラリーマン(給与所得者)を前提としています。
※1 給与所得・退職所得以外、例えば副業などで得た利益のこと。
※2 一定の所得控除は、雑損・医療費・寄付金・基礎控除以外の所得控除のこと。
“収入”と“所得”の違いがよくわからない!?
給与収入と給与所得って何が違うの?そもそも収入とか、所得って何?わからないことが多い〜!
落ち着くニャ。マネ男みたいな人も多いと思うから“収入”と“所得”の違いについて、簡単に説明するニャ。
“収入”は平たくいうと、もらったお金のこと。
不動産収入といったら家賃収入。事業収入といったら売上のことです。
給与収入の場合、社会保険料や所得税が引かれる前の基本給+各種手当(注)が収入になります。
(注)非課税通勤交通費は含まれません。
それに対し、“所得”というのは、利益のこと。
事業所得ならば、売上から経費を引いた利益のことを、所得といいます。
給与所得の場合には、“給与所得控除”という決められた金額が、経費のかわりになります。
以下のHPから給与所得控除が確認できますので、参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
つまり、サラリーマンの場合には、タクシーや飲食代などのレシートがあっても、経費として給与から引くことはできません。
その代わりに、経費を使っても使わなくても一定額を収入から引いてくれるのが、給与所得控除です。
給与収入-給与所得控除=給与所得 ということニャ。
給与所得か、それ以外の所得か?
もらったお金が給与なのかそれ以外なのかわからない、という場合の見分け方を簡単にご紹介します。
給与ならば、支払者からもらうものは、“給与所得の源泉徴収票”です。
“報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書”というものをもらった場合には、給与ではなく、雑所得か事業所得になります。
税務署に開業届を提出していて、そこに記載した事業に関する収入、もしくはそれに付随する収入であれば事業所得になります。それ以外の場合は雑所得です。
確定申告をするとお得な人とは?
さっきのフローチャートで、“確定申告不要”になったのであれば確定申告はしなくていいんだよね?
そうニャ!でも、確定申告をすることで納め過ぎた税金が還付される可能性の高いケースもあるから紹介するニャ。
年末調整がされていない
年の途中で退職をし、その後就職をしていない場合などには、年末調整がされていませんので、確定申告をすることで、還付を受けられる可能性が高いでしょう。
なお、“年末調整がされたのか、それともされていないのか?”は、給与所得の源泉徴収票を見るとわかります。
“給与所得控除後の金額”の欄に金額が記載されていない場合や、摘要欄に“年調未済”と記載されている場合には、年末調整はされていません。
その場合には、確定申告をすることで“源泉徴収税額”に記載されている金額を限度に還付される可能性があります。
逆に言うと、”源泉徴収税額“の欄が0円の場合には、確定申告をしても還付はされる金額はない(0円)、ということニャ。
医療費控除・寄付金控除など、年末調整では受けられない控除を受ける
年末調整と確定申告は、根本的には同じ所得税の計算をしています。
しかし、年末調整では受けることのできない控除があります。それが、医療費控除や、ふるさと納税(ワンストップ特例をしていない場合)などの寄付金控除です。
また、住宅ローン控除も1年目は年末調整では控除できません。1年目は確定申告をすることで控除を受け、2年目以降は年末調整で控除を受けることができるのです。
医療費控除については、徐々に簡素化されてきています。以前は、医療費の領収書を1年分集めてきて、集計をしなければ、医療費控除を受けることができませんでした。
今では、医療費通知に記載された合計額を記載することでも控除を受けられるようになりました。
医療費控除の明細書を作成し提出する必要がありますが、それも国税庁のHP からフォーマットをダウンロードできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/iryouhikoujo2.htm
この集計フォームに入力をすると、確定申告書作成コーナーで申告書を作成する際に、インポートすることができるニャン。
同じようにふるさと納税も確定申告をすることで、還付を受けられる可能性があります。
いざ還付を受けるべく確定申告をしよう!というあなたへ
医療費控除・寄付金控除・住宅ローン控除など、どの控除を受ける場合であっても、確定申告をするという点で共通していることがあります。
確定申告をすることで還付される税額は、すでに納めた税額が限度
すでに納めた税額というのは、給与所得の源泉徴収票の “源泉徴収税額”欄に記載されている金額のこと。
ここに記載されている金額は、毎月の給与から会社が預かり、年末調整で計算をした上で、会社が税務署に納めてくれた、あなたの所得税の金額です。
年末調整では受けていない所得控除や税額控除について確定申告をすると、所得から控除できる金額が増えるので、税額が下がります。
「すでに会社が納めておいてくれた所得税の一部が返ってくる」という仕組みなのです。
つまり、納めた以上に還付されることはないニャ。”源泉徴収税額“の欄が0円の場合には、確定申告をしても還付はされないニャン。
払った以上に戻ってくることはないなんて酷い、と思われるかもしれません。しかし確定申告というのは、給付金の計算をしているわけではありません。
自ら納める税金の計算であって、所得≒利益に対する税額の計算をし、精算するのが確定申告なのです。
確定申告は1年間のすべての所得に対して計算するもの
確定申告は、1/1~12/31までの1年間のすべての所得に対して、所得税の計算をし、精算をするものである、とご説明しました。
還付が目的であったとしても、必要だから申告をする場合であっても、いずれにしても確定申告をする際には、すべての所得に対して計算をします。
すべての所得ですから、サラリーマンの方は、まず給与所得の源泉徴収票が必要になります。
他に不動産を売却して得た利益、副業で得た利益などがあれば、収入から経費を引いた利益≒所得も一緒に申告します。
つまり、一部の所得だけ確定申告する、所得は無視して医療費控除だけ申告して還付を受ける、ということはできないニャン。
確定申告はスマホで簡単にできる!
確定申告や所得税の計算についての基本はわかったよ!
でも、どうやっていつまでに確定申告をすればいいの?
・スマホ申告
確定申告は、パソコンがなくてもスマホ1台でもできます。スマホで確定申告をする方法は、国税庁がYouTubeでも配信しています。
★スマホ申告(マイナンバーカード方式でのe-Tax送信方法)
スマホで申告できる範囲も増えたニャ。
スマホ申告について以下のHPを見るのがわかりやすいニャン!
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-smartphone.htm
・確定申告期限
2022年(令和4年)分の確定申告の期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)までです。
と、いうことは2月16日にならないと申告ができない、3月15日までに申告しないと還付金がもらえない!ってこと?
実はちょっと違うニャン。この確定申告期間というのは、税金を計算した結果、税金の納付が発生する場合の通常の確定申告期間ニャ。
※e-Taxで電子申告する場合は1月から申告できます。
逆に、確定申告をすることで納め過ぎた税金の還付を受ける場合の申告(還付申告)は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。
つまり、令和4年分の確定申告で、還付を受けるための申告なのであれば、2023年(令和5年)1月1日から申告することができます。そして、2023年(令和5年)3月15日を過ぎたら還付を受けられない、ということはありません。この先、5年間の間に申告をすれば還付を受けられます。
どのような場合に還付申告となるのかは、下記の国税庁のHPに具体例が載っているので、参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
2022年 確定申告の申告方法が変わった3点
最後に、2022年の確定申告から変更になった点について見ていきましょう。
1.申告書に押印の必要がなくなった
2021年(令和3年)の4月1日以降に税務署へ提出する申告書には、押印の必要がなくなりました。つまり、2022年に提出する2021年(令和3年)分の確定申告書からは、印鑑を押す必要はありません。
2.パソコンでも、ICカードリーダライタが不要になった
これまでは、パソコンで確定申告をする場合、“ID・パスワード方式”を利用しない限り、ICカードリーダライタがないと自宅から送信(申告)することはできませんでした。
ID・パスワード方式で申告するには事前に税務署に行き、職員との対面による本人確認を行ってから発行される「ID・パスワード方式の届出完了通知」が必要です。
スマホからの申告であれば、マイナンバーカードがあればオンラインだけでできてたんだけど、パソコンで申告するにはID・パスワードを持っているか、ICカードリーダライタが必要だったニャ。
せっかくパソコンを使ってオンラインで申告できるのに、税務署に行くのはちょっと大変だよね。
しかも、確定申告のためにICカードリーダライタを購入するのはちょっと…っていう人もいるよね。
せっかくマイナンバーカードがあっても、ICカードリーダライタがないために、自宅からそのまま送信(申告)できず、印刷して提出をしたり、税務署に行って申告をしていた人も多かったはずニャ。
しかし、2022年からはパソコンでも写真付きのマイナンバーカードがあれば、スマホで読み取ってそのまま申告ができるようになりました。ただし、通知カード(写真なし、紙でできたもの)では読み取れないので、この機会にマイナンバーカードを作成してみても良いかもしれません。
3.スマホのカメラで源泉徴収票を自動入力できるようになった
サラリーマンで確定申告をする方に朗報です!2022年から、給与所得の源泉徴収票をスマホで読み取って、自動入力できるようになりました。
サラリーマンが確定申告をする場合には、源泉徴収票に記載されている内容を入力することが必須となります。
これまで、給与所得の源泉徴収票に記載されている内容を、“もれなく”かつ“正しく”入力するのは意外と手間でした。しかも、誤って入力すると、誤った税額で計算されてしまうため、注意深く入力する必要がありました。
でも、2022年からは源泉徴収票を読み取ってくれるから、これまでに比べると大幅に手間が減り、より簡単になったニャン。
確定申告がスムーズにできるようになったんだね。スマホで簡単に申告できるのは面倒くさがり屋の僕にとってもありがたい!
それに住宅ローン控除のことも知れてよかった!将来おーっきい家を買うときのために大事な情報だよね!
「おーっきい」!?そんなに給料上がるかなぁ…。
マネ男たちが将来どのくらい大きい家を買うかはわからないけど、確定申告についてはしっかり覚えておくことが大事ニャ。
早速確定申告したほうが良いか我が家も検討しよう!
還付されたお金はやっぱり家を買うために貯金…だよね?
当たり前じゃない!夢のマイホーム貯金だよ!
さすがマネ娘はしっかりしてるニャ!
なお2023年の確定申告についても細かな変更点があります。国税庁HPの「令和4年分確定申告特集」にまとめられていますので併せてご確認ください。
村田累実税理士事務所 代表税理士
総合芸術高等学校音楽科を卒業後、ハンガリー・リスト音楽院に留学。帰国後、都内大手ダイビング会社にて5年間の営業職を経験後、コールセンター事業部の立ち上げに携わり、年間営業成績No.1の実績を残す。
転職後、会計業界に約15年間従事。医療法人、IT関連会社、建設業等100社を超える企業の税務顧問、相続税申告業務を行っている。
趣味は、自転車、登山、剣道、ダイビング、音楽。
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