親を扶養に入れると節税効果がある?扶養に入れる条件をチェック!

<目次>
1.そもそも扶養って何?
2.親を扶養に入れるメリットとデメリット
子ども側のメリット・デメリット
親側のメリット・デメリット
3.親を扶養に入れる「条件」は?
所得税法上と健康保険法上とで条件が異なる
4.どれくらいの節税になる?
課税所得と所得税率から試算できる
5.親を扶養に入れるべき?扶養に入れるときの手続きは?
・所得税法上は同居や仕送りをしている場合に利用。年末調整か確定申告で手続きを
・健康保険法上は高額医療が不要な場合に利用を検討。職場の総務部などで手続きを

年金暮らしの親を扶養に入れると節税効果があるという話を聞いたことはありませんか?節税効果だけを考えて老親を扶養に入れるわけではないものの、もし扶養に入れることができた場合は、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

何より気になるのは、我が家の場合は扶養に入れたほうが良いのか、そもそも対象となるのかどうかや手続きなど。疑問だらけの“老親を扶養に入れる”問題を整理してみましょう!

マネ娘母

今日会った友達が最近、子どもの扶養に入ったんだって。子ども側が節税になるらしいけど知ってた?

マネ娘

へー知らなかったな。そもそも親を扶養に入れることができるんだね。扶養っていうと主婦(夫)や子どもを入れるイメージだけど…。

マネ男

そうだね。そう言われると扶養って何かよくわかってないかも…。

マネ娘父

扶養に入るってことは面倒見てもらうってことだろう?考えるにはまだ早いんじゃないか?

マネキン

みんな実は扶養についてあんまりわかってないニャ?「節税できそうだから扶養に入れよう!」なんて考えじゃダメニャ。僕がしっかり教えるから今後のためにもよーく覚えておくニャ!

そもそも“扶養する”って、どうなること?

「扶養する」とは一般的に、収入が少なくて自力で生活することが難しい人を、親族等が養うことを言います。

民法では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められていて、生活に困窮する親族を扶養しなければならないとされています。ただし、自分の親や兄弟姉妹に対する扶養義務は、配偶者や子に対する扶養義務よりも義務の程度は弱いとされ、「余力がある範囲」にとどまるとされています。

マネキン

一口に扶養といっても、所得税法上と健康保険法上と2種類あって、それぞれ適用となる条件も異なるニャ。

配偶者や子どもだけでなく、一定の条件をクリアすれば、親を子どもの扶養とすることもでき、「親を扶養に入れる」と言ったりするのです。

親を扶養に入れるメリットとデメリット

例えば親が高齢になって、子ども側で経済的な支援を始めたとします。さらに、親側が扶養の条件を満たしている場合、扶養に入れる選択をするかどうかは、メリット・デメリットや注意点を含めて検討する必要があります。

マネキン

メリット・デメリットを子どもと親の立場に分けて整理してみるニャ。そもそも同居や経済的支援をすることが前提になるから、慎重に考える必要があるニャン!
※ここでは便宜上、所得税法上と健康保険法上の両方の扶養に入った場合を前提とします。

<子ども側>
■メリット
・親を経済的に支えることができる
・所得から控除を受けられる

マネキン

控除とは「一定の金額を差し引く」という意味ニャ。この場合、所得税の金額が低くなると言えるニャン。

状況によって所得税から控除される金額は変わります。詳細は以下の表のとおりです。

■デメリット
・経済的な負担が増える
・仕送りなどの経済的な支援は、一度始めると辞めにくい
・年収が高いほど高額療養費(参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)の自己負担額が大きくなる

マネキン

高額医療費制度は1ヶ月に支払う医療費が自己負担額を超えた場合に払い戻される制度ニャ。この自己負担額は所得や年齢によって決まっていて年収が高い人ほど自己負担額は増えるニャン。
※高額療養制度について詳しくはこちら厚生労働省のサイトをご覧ください。

■注意するポイント
・親が75歳以上になると後期高齢者医療制度に入るため、健康保険法上の扶養にはできない
・自営業で国民健康保険の場合は扶養に入れることはできない

マネ娘母

マネ娘たちにも将来子どもが生まれたらって考えると負担はさせられないわ…。

<親の側>
■メリット
・子どもからの経済面・生活面の支援を受けられる
・健康保険法上の扶養に入る場合、保険料の負担はない(74歳まで)

■デメリット
・途中で生活保護に切り替えようと思っても難しいことがある
・親が高額医療制度を使うときには、自分で健康保険に入っている方が負担額は少なくて済む
・扶養に入っていることにより、国からの給付金がもらえないことがある

マネキン

平成26年の消費税の引上げの時に住民税非課税世帯に「臨時福祉給付金(経済対策分)」 が支給されたんだけど、この時の給付金は所得が高い人の扶養に入っている人は対象外だったニャ。

■注意するポイント
・75歳になったら後期高齢者医療制度に加入するのでいずれにしても自己負担が発生する

マネ娘

後期高齢者医療制度って75歳(一定の障害がある人は65歳)以上の方が加入する医療保険のことだね。もともと健康保険法上の扶養に入っていても75歳になったら扶養を外れて自己負担も発生するのかぁ。メリット・デメリットや注意ポイントも踏まえてしっかり検討しなきゃ…。

マネキン

親の支援は長く続くものだから「節税でお得だから」と軽く考えずに、生涯続けられるのかをしっかりと考えるべきニャ!

マネ男

一度仕送りを始めたら、子ども側から「辞めたい」なんて言いづらいし、親も困るだろうから、慎重に始めないとダメってことだね…!

親を扶養に入れる「条件」は?

マネキン

親を扶養に入れることができる「条件」としては、所得税法上と健康保険法上では次のように整理することができるニャン。

 

<所得税法上>
・親の所得金額が48万円以下(給与のみの収入で103万円以下、年金収入は65歳未満で108万円以下、65歳以上で158万円以下)。
・親が青色申告者の事業専従者として給与をもらっていない、白色申告者の事業専従者でない。
・親子が「生計を一」にしている

 

<健康保険法上>
・被保険者の収入で暮らす実の親(同居・別居問わず)か、同居の義理の親で、75歳未満
同居の場合:親の年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)で、被保険者の年収の1/2未満
別居の場合:親の年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)で、被保険者の仕送額より少ない
※年金のほか、給与所得や事業所得、不動産賃貸収入、利子収入、傷病手当金、失業給付なども収入とみなされます。
※職場の健康保険組合により異なる場合もあるので、勤務先で確認してください。
マネキン

健康保険法上の扶養に入れるかはちょっと複雑だからチャートにしてみたニャ。

マネキン

職場の健康保険組合により異なる場合もあるので、勤務先で確認するニャ!

どれくらいの節税になる?節税金額を試算しよう

気になる節税金額は、次のように試算できます。

マネキン

課税所得とは、収入から必要経費(給与所得の場合は給与所得控除)などを引いた所得から、基礎控除などの各種所得控除を引いた金額で、課税対象となる所得ニャ。

自分の場合はいくらになるのかを確認する際は、源泉徴収票などで所得税率を確認して、控除額にかけて計算すれば算出できます。

また、定年後に働いていない親は、一般的に74歳まで国民健康保険に入りますが、保険料は自治体などで異なります。こちらは親御さんに確認してください。

親を扶養に入れるべき?扶養に入れるときの手続きは?

所得税法上の扶養控除は、すでに同居しているか仕送りをしていて条件を満たす場合に利用すると良いでしょう。

健康保険上の扶養(74歳まで)については、持病があるなどで高額の医療費がかかる場合は親自身の健康保険に入ってもらう方が費用を抑えられるケースが多いかもしれません。75歳以上は全員が後期高齢者医療保険制度に入るため、子どもの扶養に入れることはできません。

所得税法上の扶養に入れる場合は、会社員なら職場の年末調整時に記載して提出することになります。自営業なら確定申告で手続きをします。
会社員で親を健康保険法上の扶養に入れる場合は、職場の総務部などで手続きが必要です。

マネキン

「親を扶養する」ことは生涯にわたることでもあるから、無理は禁物。余力がある場合にできる範囲で行うのが良いニャン。そして、実態に合わせて扶養控除を利用するニャ。健康保険法上の扶養の場合は親が病気がちかどうかなどで判断も変わってくるけど、扶養に入れなくても、医療費の支援をするなどでサポートする方法はいくらでもあるニャン。

マネ娘

損得以前に、親と向き合うことも大事だね。マネ男は節税になるからってだけで扶養を考えそうだけど。

マネ男

ギク!そ…そんなことないよ!ちゃんとしんちょーーーに考えるよ!

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豊田眞弓
FPラウンジ代表
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相続診断士。マネー誌等のライターを経て、94年よりFPとして活動。相談業務や講演、マネーコラム執筆などで活動。ハッピーで持続可能な家計の実現をサポート。子どもマネー総合研究会会長、親の介護・相続と自分の老後に備える.comを主宰、大学や短大で非常勤講師も務める。著書に、「親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本」(アニモ出版)など多数。趣味は講談、投資。
http://happy-fp.com/